公開日:2024.07.03 更新日:2025.03.18
いつもご覧いただき誠にありがとうございます。ソラノデザイン合同会社、代表の角田です。
今4期目が終わり、8/3で会社設立4周年。
新規事業の通販事業、インスタのフォロワー数が4万人を突破し、課題は多いですがまずまず好調です。
WEBサイト制作を主軸事業としている弊社では、
仕事柄、新規事業の立ち上げに携わらせていただく事が本当に多い業種業態です。
そのため、私たちの業態だからこそ気がつける、
「事業立ち上げ」における共通項というのは、あると思うんですね。
もちろん事業ごとに最適な立ち上げ方は違います。
初期投資いくらを見込んでいるのか。
どのような商材なのか。
競合はどのくらいいる市場なのか。
そもそも市場はあるのか、無いならかなり投資しないと市場は作れないが大丈夫か。
など、事業ごとに個性はあります。
しかし前述の通り、
”事業立ち上げ”において言語化できる事もあると思うんです。
本日は個人的に感じている、
「事業の立ち上げ成功者を見ていて感じる共通項」
「事業立ち上げのコツ」のようなものを、
言語化していきたいと思います。
※プロダクトアウトではなくマーケットイン寄りのお話です
目次
【新規事業立ち上げの基本】新規事業の打率は良くて3割
まず大前提、「新規事業の打率は良くて3割」ということを念頭におかなければいけません。
私の先輩にも優秀な経営者の方、マーケターの方はたくさんいますが、
すごい人で3割くらい、というのが体感です。
それを前提に初期投資を考えたりリスクを考えたりしなければなりません。
初期投資は少なめに
まずは初期投資少なめにスタートを切ります。
この「少なめ」という概念は人それぞれで良いと思います。
1000万なら投資として出せる、という会社様もいるでしょう。
私のような零細企業だと、「とりあえず100万が限度かも…できれば20万で….」という形になります。
もちろん、資金源が別にある、もしくは資金がある方は、短期で事業を伸ばせます。
レバレッジというやつですね。
「最悪赤を掘っても良い金額」というのは会社様によって違います。
ただ、最悪赤を掘っても会社が耐えれる状態で事業は始めるべきです。
博打に近いような形の成功は、何度も連続して続きません。
一番最初の事業立ち上げは博打のような形で成功する事も多いかもしれませんが、
(私も最初の立ち上げはリスクを感じながらハードワークしてました)、
博打を2連続で当てるのは至難の業です。
イチローでも三振することがある世界です。
必ず期待値というものは存在し、ミスというのはイチローでも起こす事があるんです。
どれだけのプロでもミスはあります。
そんな世界で事業を起こすなら、
期待値の計算やテストマーケはとても大切だと個人的には考えています。
熱量は大切ですが、
「熱い想いさえあれば失敗の可能性は0%になる」なんてことはありません、資本主義をなめすぎです。
3回のうち1回は成功するかも、という見込みがあるなら、
(思いついた事業アイディア3つのうちどれかを当てられるくらいビジネスに詳しい自信があるなら)
まず小さく3回、サイコロを振る事がおすすめです。
なるべく体力を温存したスタートを切り行動していきましょう。
リスク管理しながら、新規事業は始めていきましょう。
また、例外として、
レッドオーシャンすぎる = 競合がギシギシにマーケットに入っており資本がないと戦えない市場
には、とんでもない大金を投資しないと見込みはありません。
「小さく始めようがない市場」は存在します。
SNSを作ろう!とかですね。
3大SNSに匹敵するものを作ろうとする事に至っては、
そもそも日本企業は参入できないだろうくらいに思っています。
また逆も然りでして。
「今はない市場を作っていく」というのも簡単ではありません。
例えば石川県の人口が111万人ですよね。
石川県の3人に1人はうちの商品を知っているという状態を作るぞ!
と思った時に、
すでに市場があれば「こんな選択肢もあるよ〜」と既存市場に商品を並べるだけですが(まあこれも大変なんですが)、
まったく市場がない = ブルーオーシャンすぎる市場でそれをやろうとすると、
37万人に「新しい未知の商品を知ってもらい覚えてもらう」必要があります。
1人に認知させる単価が仮に100円だとしても3700万円の投資ですよね。
(単価・・・・人件費やSNS運用費や広告費やブログ運用費用など)
CPCの高騰により顧客獲得単価(CPA)の平均値は1万円を超えているので、実際はもっとかかると思います。
※コラムをわかりやすくするためにかなりザックリの計算です
たまに「ブルーオーシャンを狙おう」という文献をみますが、
あれは「時代の後押しありき」「大金ありき」で成り立つ理屈だと考えてます。
フリーランスという言葉が流行る前にフリーランスの仲介プラットフォームをやっていたとか。
北欧家具ブームがくる直前に北欧家具の専門店をやっていたとか。
時代の流れが来る直前、CPAが安いうちに参入した。
もしくは時代の流れを自分で変えられるくらいの大金をもっていた。
もちろん成功の裏には凄まじい企業努力がありますが、
努力だけではなく時代の流れを読む力があったから、
ブルーオーシャンで事業を立ち上げ、広げていけたのだと思っています。
昔と違い物が飽和し差別化もだんだんと難しくなってきている今の時代、
どちらかというと(個人的には)パープルオーシャンがおすすめです。
まず種を巻くところから小さく初めて、芽が出たら水をかける
「まず小さく種を蒔いて、芽が出たら水をかける」事が大切だと考えています。
例えばEコマースの新規事業を行う際。
500万円失っても大丈夫!といった資産家さんは、
最初から300万円のECサイトを作り200万広告を打っても良いと思います。
しかもそれ+商品開発のコストや人件費、その他コストもかかるのでお金持ちですよね。
ただ、リスクはとりあえず100万以内に収めたい、そんな会社様も多いですよね。
なので最初は、下記のようなことを試します。
商材により媒体は多少変わりますが、
- LP(30万〜50万) × Google広告 or インスタ広告(50万)
- インスタ運用(人件費のみ。無料。)
- ブログ運用(人件費のみ。無料。)
などで、
「そもそもこの事業に見込みはあるのか?」
「お客様はつくの?」
「興味を持ってくれる人はどのくらいるの?」
ということをテスト的に行います。
私の場合は、3つくらいの別々の事業アイディアごとにブログを作ったりして試して、
芽が出た商材に水をかけますね。
でもそれだけでも大変です。
毎日普段の仕事があるのに、毎晩頑張って2000文字以上のブログを1日3記事書いて…
のような生活です。
やっぱり新規事業の立ち上げは、
お金か自由な時間か、どちらかを失うリスクは必ず伴います。
ただ数千万失うより「3年遊ばずに過ごす」とかのほうが、
長い人生軸で見ると、全然失うものは少ないと個人的には思います。
とはいえお金をかけてリスクをとる、
そんな戦い方ももちろんあります。
在庫管理から顧客管理まで、完璧な機能が搭載された完璧なECサイトをWEB制作会社に発注して、
500万かけてドーン!
よしお客さんを入れてくぞ!広告費500万ドーン!
さあ売れるかどうか!勝負だ!
たまにそんな戦い方をする先輩は正直います。
が、私に言わせれば雲の上の方々の戦い方です。多分前世は鎌倉武士か何かだったんでしょう。
(資産的にも センス的にも 勝負強さ的にも)
前項でも記載しましたが、あのイチローでもミスはあるんです。
「まず小さく種を蒔いて、芽が出たら水をかける」
これはおすすめの立ち上げ方ですね。
WEBでも店舗でも、同じくらいの立ち上げコストはかかる
もう一つ誤解されがちなのは、
「WEBは魔法」という誤解です。
正直これは海外ではありえない価値観です。
WEB関係の若手起業家の端くれとして強く言いたい。
WEBの事業は立ち上げコストかからないんでしょ?と考える方は未だにいらっしゃいますが、
これはデジタル化が遅れている日本ならではの考え方です。
インターネットの黎明期、90年代〜2000年代初旬くらいまでは、
「そもそもWEBで販促している企業が少ない」時期で、
そんな魔法のような事が実現できたのかもしれません。
とりあえず初期投資100万ですごい売上が立つ!みたいな魔法です。
今は普通にどの企業もWEBで販促をしており、自社のサービスをPRしている時代。
ビジネスモデルにもよりますが、
普通に実店舗を立ち上げるのと同じくらい、
立ち上げコストはかかります。
私もまず制作会社 = 労働集約型のビジネスモデルで起業しないと、
他の事業を作る種銭がないといった状態でした。
ただ、すでに成り立っているビジネスや売上が立っている商品を、
よりWEBで販売促進すること、
これに関しては低コストでも実現できます。
ただ新規事業の方は全く違います。
私もやってるのが苦しくなるくらい、立ち上げコストもかかれば、
泥臭い働き方も必要です。
定性的ですが熱量も大事
「泥臭い働き方」に通ずるものとして、
定性的ですが、「熱量」もとても大事です。
この商品を売りたい。
こういうビジネスを作って、こんな会社を作りたい。
お金を稼ぎたい、どうしても儲けたい。
理由はなんでもよいのですが、
泥臭く夜中までブログを書いたり、
広告費が溶けてくのを直近でみてもがき苦しんだり、
事業立ち上げは楽しいことばかりではないですし、苦しい時期も多い。
ただそれを乗り越えて走り続けられるのは、
仲間への信頼であったり、作りたい物があったり、
なにか強烈な理由がないと走れません。
もちろんそれが欲でもコンプレックスでもいいと思うんです。
もっと稼ぎたい。もっと資産が欲しい。
あいつを見返したい。
もっとモテたい。
とにかく、定性的な「走る強いモチベーション」がないと、
新規事業は無理だろうなと思っています。
だってこんなに目標まで長い距離、普通にやってたら走れないですし倒れますもん。
何より大切なのは「バグを起こし」「バグを消す」事・・・2025年追記
この項は2025年に追記した項です。
最近気がついた事、学んだことがありまして。
言語化しておきたいです。
事業立ち上げ時はバグが必要
まずは、ゼロイチの時は”バグ”が必要だと実感しています。
例外はあると思うのですが、私が見てきた中で事業立ち上げは、
集客コストのバグ
以上に友達が多くて何もしてなくても集客できた
芸能人がプライベートで来店してくれて拡散してくれた
Twitter黎明期から広告を打っていて異常なCPAで売れた
扱っている商材が全国的にブームになりCPAが安すぎた
初期投資のバグ
見返りを求めないお金持ちの知り合いがいて初期に2000万ほど原資をくれた
親が不動産や事業を持っていてイニシャルが0だった
働き方と熱量のバグ
「異常なくらいのハードワーク&自分の給与を下げる」を初期に行い社員4人分の働きを人件費400万でやれた
部下に年収400万円で年収1000万級の成果を出させる人心掌握術に長けていた
リスク許容度のバグ
後先考えず2000万円借りた
など、
何かバグがないと作れないと確信しています。
起業家はバグを作るのが得意といった印象です。
やれと言われてない事ばかり自分の裁量と責任でやってきたから、会社を持ててるような、そんな印象があります。
反面、サラリーマンはバグを作らないのが得意です。
やれと言われたことをやるのも得意で、規範意識も高いですが、
外れ値を出すのが苦手、外れ値を出すのを嫌うといった印象があります。
私はどちらかというと、起業家向きだとメタ認知しています。
バグを出すのが得意ですし、
最近は考え方と事業のフェーズが変わったのですが、
少なくとも事業立ち上げ期は、
「どうバグを出すか、外れ値を出すか」といったマインドで生きていました。
人は自分の成功体験をトレースして生きていき意思決定する生き物です。
受験に合格した方法、誰かと良い関係を築いた過去、勉強法、成功方法など、
過去の成功体験をトレースし目の前の課題や人生をデザインしていきます。
私がゼロイチに成功した時や、
知り合いがゼロイチに成功した時は、
いつもこの”バグ”を目の当たりにしてきました。
それは自分だけではなくクライアント様や知り合いで、
新規事業立ち上げに成功している人にはもれなくこの”バグ”がありました。
そのためそんな成功体験から、
「バグを出していこう」「外れ値を出す働き方をしよう」
といったマインドになりすぎていましたが、
この頃(2025年)弊社通販事業の事業設計、事業再建をしていて、
ゼロイチの後、伸ばすフェーズには真逆のことをする必要があるんじゃないかと考え始めました。
事業を伸ばすフェーズは逆で”バグを出さない”
ゼロイチが終わった途端、向かっていく方向が180度変わるんじゃないか。
そのことに気がついた時、少し驚きのような変な感覚になったのですが、
ゼロイチが終わった後は、次は「バグを出さない」作業が必要だと、
考えれば考えるほど確信しています。
これはこれまでバグを出すことを意識していた自分への言い訳でも否定でもありません。
ゼロイチ期は「バグを出す力」が必要で、
イチジュウ期は「バグを出さない力」が必要と、
真剣に考えています。
この「バグを出さない」という活動を、
わかりやすく例えるために、チームビルディングを例に出します。
世の中、”定数”と”変数”があり、
定数は動かせないもの、
変数は動かせるものです。
何かしようと思った時、
なんとなく頭の中で周りの変数と定数を分類しますよね。
これは動かせるなー、これは動かないなーなどです。
つまり”定数”を動かそうとするとミスるので、
事業などは特に、”変数”を動かします。
ゼロイチの経験が多かった、
バグを出すことが得意だった私は、
”人は変数”だと思ってゼロイチ期を過ごしてきました。
外れ値もバグも出せます。
しかしゼロイチが終わりの伸ばすフェーズ、
ここからは”人は定数”として捉え、
ビジネスモデルを設計していかないとリスクがあるな、
むしろ損だなと思っています。
事業が大きくなればなるほど、平均化や最適化が起こるんですね。
人材で例えるならば、
(事業規模や市場や地域的に)
自社がこだわって採用できる人材のレベルはこれくらい、
といった平均値を受け止めて、
その平均値から逆算してビジネスモデルを整えていく必要を感じています。
どうせ事業拡大とともに平均化するから、
それに備えてビジネスを捉え直さなきゃいけない。
事業を伸ばすフェーズは、
- バグが必要ならまだゼロイチは終わっていない。
- 平均値で回らないならビジネスモデルに欠陥がある。
そう捉える。
バグを出さないと事業を作れないのに、
事業を伸ばすためには仕組み化してバグや変数を減らさなきゃいけないという、
一見すると意味のわからない、矛盾した作業が発生します。
事業を”伸ばす”ためにはバグを出しちゃいけない。
しかし”事業を作る”ためにはバグが必要。
これは本当にポジショントークなどではなく、
周りや自分を見ていて、
紛れもない事実だと思っています。
事業を作るのであれば、
まず”バグを出す”ための活動をして、
その後”バグを出さない”ための活動をしなければならない。
それをやり切ることが「事業に成功」するという事なんだと思います。
世の中”伸ばすフェーズ”は得意な人が多い印象です。
”バグを出さない仕事”においては、
起業家タイプの人でない方が、得意かもと思うくらいです。
というか日本人向きですよね。
日本人はプロダクトを思いつくのが苦手で、
ブラッシュアップするのが得意と言われますが、
この理屈、この項で話したことに当てはまる気がします。
この「バグを出す」ことと「バグを減らす」という矛盾した活動を、
事業のフェーズに合わせ柔軟に取捨選択する能力に長けている人が、
事業の立ち上げに成功すると、2025年の今はとらえています。
結構私の中でこの気づきは大きくてですね。
思わず追記してしまいました。
また成長がありましたら、このコラムに追記していこうと思います。