公開日:2024.07.03 更新日:2024.07.04
いつもご覧いただき誠にありがとうございます。ソラノデザイン合同会社、代表の角田です。
今4期目が終わり、8/3で会社設立4周年。
新規事業の通販事業、インスタのフォロワー数が4万人を突破し、課題は多いですがまずまず好調です。
そんなふうに、自社事業・受託事業共に、マーケティング等を得意としている弊社では、
仕事柄、新規事業の立ち上げに携わらせていただく事も増えてきました。
もちろん事業ごとに最適な立ち上げ方は違います。
初期投資いくらを見込んでいるのか。
どのような商材なのか。
競合はどのくらいいる市場なのか。
そもそも市場はあるのか、無いならかなり投資しないと市場は作れないが大丈夫か。
などです。
ただそんな中にも基本ルールというか、
私個人として「これは基本だよな」と考えている戦い方がありまして。
本日はそんなところをお話ししていけたらと思います。
※プロダクトアウトではなくマーケットイン寄りのお話です
目次
【新規事業立ち上げの基本】新規事業の打率は良くて3割
まず大前提、「新規事業の打率は良くて3割」ということを念頭におかなければいけません。
私の先輩にも優秀な経営者の方、マーケターの方はたくさんいますが、
すごい人で3割くらい、というのが体感です。
それを前提に初期投資を考えたりリスクを考えたりしなければなりません。
なんだか”新規事業”という言葉を使うと、
夢だった事業をやるぞ!みんなで汗を書きながら!みたいなキラキラしたイメージがあるのですが、
残念ながら私の性格的に事業を計画する段階でそういう感じにならず。
割と現実的に淡々と事業計画を立てた事業を、伸ばしています。
これが正しいかはわかりません。笑
作りたい組織像は強めに持ってますし、
売り上げが立ち始めたあと、伸ばす過程は感情も入りますが、
設計は淡々とです←
話を戻しますと、
そのため私は下記の項目を大切にしています。
初期投資は少なめに
まずは初期投資少なめにスタートを切ります。
この「少なめ」という概念は人それぞれで良いと思います。
1000万なら投資として出せる、という会社様もいるでしょう。
私のような零細企業だと、「とりあえず100万が限度かも…できれば20万で….」という形になります。
もちろん、資金源が別にある、もしくは資金がある方は、短期で事業を伸ばせます。
レバレッジというやつですね。
「最悪赤を掘っても良い金額」というのは会社様によって違います。
ただ、最悪赤を掘っても会社が耐えれる状態で事業は始めるべきです。
博打に近いような形の成功は、何度も連続して続きません。
一番最初の事業立ち上げは博打のような形で成功する事も多いかもしれませんが、
(私も最初の立ち上げはリスクを感じながらハードワークしてました)、
博打を2連続で当てるのは至難の業です。
イチローでも三振することがある世界です。
必ず期待値というものは存在し、ミスというのはイチローでも起こす事があるんです。
どれだけのプロでもミスはあります。
ましてや私などイチローのバットの先についた砂、その中にいる微生物レベルの人間です。
比べるのも烏滸がましい。
そんな世界で事業を起こすなら、あなたの背番号が51番でないなら、
期待値の計算やテストマーケはとても大切だと個人的には考えています。
「熱い想いさえあれば失敗の可能性は0%になる!」なんてことはありません、資本主義をなめすぎです。
3回のうち1回は成功するかも、という見込みがあるなら、
(思いついた事業アイディア3つのうちどれかを当てられるくらいビジネスに詳しい自信があるなら)
まず小さく3回、サイコロを振る事がおすすめです。
なるべく体力を温存したスタートを切り行動していきましょう。
リスク管理しながら、新規事業は始めていきましょう。
※あくまで持論です
また、例外として、
レッドオーシャンすぎる = 競合がギシギシにマーケットに入っており資本がないと戦えない市場
には、とんでもない大金を投資しないと見込みはありません。
「小さく始めようがない市場」は存在します。
SNSを作ろう!とかですね。
3大SNSに匹敵するものを作ろうとする事に至っては、
個人的な試算では、そもそも日本企業は参入できないだろうくらいに思っています。
また逆も然りでして、
「今はない市場を作っていく」というのも簡単ではありません。
例えば石川県の人口が111万人ですよね。
石川県の3人に1人はうちの商品を知っているという状態を作るぞ!
と思った時に、
すでに市場があれば「こんな選択肢もあるよ〜」と既存市場に商品を並べるだけですが(まあこれも大変なんですが)、
まったく市場がない = ブルーオーシャンすぎる市場でそれをやろうとすると、
37万人に「新しい商品を知ってもらい覚えてもらう」必要があります。
1人に認知させる単価が仮に100円だとしても3700万円の投資ですよね。
(単価・・・・人件費やSNS運用費や広告費やブログ運用費用など)
CPCの高騰により顧客獲得単価(CPA)の平均値は1万円を超えているので、実際はもっとかかると思います。
※コラムをわかりやすくするためにかなりザックリの計算です
たまに「ブルーオーシャンを狙おう!」という文献をみますが、
あれは「時代の後押しありき」「大金ありき」で成り立つ理屈だと考えてます。
フリーランスという言葉が流行る前にフリーランスの仲介プラットフォームをやっていたとか。
北欧家具ブームがくる直前に北欧家具の専門店をやっていたとか。
時代の流れが来る直前、CPAが安いうちに参入した。
もしくは時代の流れを自分で変えられるくらいの大金をもっていた。
もちろん成功の裏には凄まじい企業努力がありますが、
努力だけではなく時代の流れを読む力があったから、
ブルーオーシャンで事業を立ち上げ、広げていけたのだと思っています。
昔と違い物が飽和し差別化もだんだんと難しくなってきている今の時代、
どちらかというと(個人的には)パープルオーシャンがおすすめです。
まず種を巻くところから小さく初めて、芽が出たら水をかける
「まず小さく種を蒔いて、芽が出たら水をかける」事が大切だと考えています。
例えばEコマースの新規事業を行う際。
500万円失っても大丈夫!といった資産家さんは、
最初から300万円のECサイトを作り200万広告を打っても良いと思います。
しかもそれ+商品開発のコストや人件費、その他コストもかかるのでお金持ちですよね。
ただ、リスクはとりあえず100万以内に収めたい、そんな会社様も多いですよね(というか弊社がそうです)。
なので最初は、下記のようなことを試します。
商材により媒体は多少変わりますが、
- LP(30万〜50万) × Google広告 or インスタ広告(50万)
- インスタ運用(人件費のみ。無料。)
- ブログ運用(人件費のみ。無料。)
などで、
「そもそもこの事業に見込みはあるのか?」
「お客様はつくの?」
「興味を持ってくれる人はどのくらいるの?」
ということをテスト的に行います。
私の場合は、3つくらいの別々の事業アイディアごとにブログを作ったりして試して、
芽が出た商材に水をかけますね。
でもそれだけでも大変です。
毎日普段の仕事があるのに、毎晩頑張って2000文字以上のブログを1日3記事書いて…
のような生活です。
やっぱり新規事業の立ち上げは、
お金か自由な時間か、どちらかを失うリスクは必ず伴います。
ただ数千万失うより「3年遊ばずに過ごす」とかのほうが、
長い人生軸で見ると、全然失うものは少ないと個人的には思います。
とはいえお金をかけてリスクをとる、
そんな戦い方ももちろんあります。
在庫管理から顧客管理まで、完璧な機能が搭載された完璧なECサイトをWEB制作会社に発注して、
500万かけてドーン!
よしお客さんを入れてくぞ!広告費500万ドーン!
さあ売れるかどうか!勝負だ!
たまにそんな戦い方をする先輩は正直います。
が、私に言わせれば雲の上の方々の戦い方です。多分前世は鎌倉武士か何かだったんでしょう。
(資産的にも センス的にも 勝負強さ的にも)
前項でも記載しましたが、あのイチローでもミスはあるんです。
「まず小さく種を蒔いて、芽が出たら水をかける」
これはおすすめの立ち上げ方ですね。
WEBでも店舗でも、同じくらいの立ち上げコストはかかる
もう一つ誤解されがちなのは、
「WEBは魔法」という誤解です。
正直これは海外ではありえない価値観です。
WEB関係の若手起業家の端くれとして強く言いたい。
WEBの事業は立ち上げコストかからないんでしょ?と考える方は未だにいらっしゃいますが、
これはデジタル化が遅れている日本ならではの考え方です。
インターネットの黎明期、90年代〜2000年代初旬くらいまでは、
「そもそもWEBで販促している企業が少ない」時期で、
そんな魔法のような事が実現できたのかもしれません。
とりあえず初期投資100万ですごい売上が立つ!みたいな魔法です。
今は普通にどの企業もWEBで販促をしており、自社のサービスをPRしている時代。
ビジネスモデルにもよりますが、
普通に実店舗を立ち上げるのと同じくらい、
立ち上げコストはかかります。
私もまず制作会社 = 労働集約型のビジネスモデルで起業しないと、
他の事業を作る種銭がないといった状態でした。
ただ、すでに成り立っているビジネスや売上が立っている商品を、
よりWEBで販売促進すること、
これに関しては低コストでも実現できます。
ただ新規事業の方は全く違います。
私もやってるのが苦しくなるくらい、立ち上げコストもかかれば、
泥臭い働き方も必要です。
定性的ですが熱量も大事
「泥臭い働き方」に通ずるものとして、
定性的ですが、「熱量」もとても大事です。
この商品を売りたい。
こういうビジネスを作って、こんな会社を作りたい。
お金を稼ぎたい、どうしても儲けたい。
理由はなんでもよいのですが、
泥臭く夜中までブログを書いたり、
広告費が溶けてくのを直近でみてもがき苦しんだり、
事業立ち上げは楽しいことばかりではないですし、苦しい時期も多い。
ただそれを乗り越えて走り続けられるのは、
仲間への信頼であったり、作りたい物があったり、
なにか強烈な理由がないと走れません。
もちろんそれが欲でもコンプレックスでもいいと思うんです。
もっと稼ぎたい。もっと資産が欲しい。
あいつを見返したい。
もっとモテたい。
とにかく、定性的な「走る強いモチベーション」がないと、
新規事業は無理だろうなと思っています。
だってこんなに目標まで長い距離、普通にやってたら走れないですし倒れますもん。
尻尾巻いて逃げ出したくなりますね。
個人的にはそのモチベーションの源泉を、数字以外のところに持って行った方が社員は幸せだと思っています。
ビジネスは感情的にやっちゃいけない、というのはありますが、
この項で書いている「熱量 = とんでもない距離を走るガソリンを何にするか」においては、
誰かを幸せにしたい、誰かが報われる会社を作りたい、
そういう感情論的なモチベで走らないと、
最後社長だけが儲かって社員を疲弊させる会社が出来上がると考えています。
もちろん私も「お金」をガソリンに走ることはできました。
物欲とかモテたい欲とかに忠実になればお金をガソリンにできるでしょう。
ただ、ある程度年齢を重ねていくと「自分のモチベーションを何にするかは自分でコントロールできるように」なります。
新規事業の経営、長距離を泥臭く走り抜けるガソリン、
周りの幸せを考えるなら、できれば感情論で経営したいですね。
なので
- めちゃめちゃ冷淡に淡々と事業計画を書き売上を立て顧客をつける
- そのあとなんとか感情論をガソリンに走り切る
立ち上げ方が、仲間を幸せしつつ事業を成功させる秘訣かなと、
(31歳の今ある知識で気づける範囲ではありますが)そう結論づけています。
どうせ事業計画通りになんていかない
最後にここまで書いたことを突然ひっくり返すような事を言いますが、
正直、どうせ事業なんて計画通りに行きません。笑
これまで書いてきたコラムは、
最初、売上の見込みが立ったり、参入の見込みが立ったりするまでにしか使えない武器です。笑
売上が立ち始めるという事は、顧客がつくという事。
顧客はPDFに書き起こした計画通りに当然動いてはくれません。
これはどうかな。これだとどういう反応するかな。
こういうアイディアはどうかな。こんなコンセプトはどうだろう。
いろんなテストや実験を行い、なんとか成長させていきます。
完璧なプランで完璧な事業を、というのは、
正直、私には無理だと思っています。
世界には一部、そんな天才もいるのでしょうが。
ただそんな凡人の自分でも事業を立ち上げられるのは、
そもそも「完璧な計画なんてない」という前提のもと事業を起こしているからです。
つまり「自分や周りを理想化しない力」みたいなとこですね。
完璧でない計画を完璧にしていくには、
社員の協力であったり、アイディアであったり、視点であったり。
そもそも、協力してくれる仲間と働くこと、採用することだったり。
様々な複合的な力を引き出せるチームビルディングが大切だと感じています。
正直私もそこはまだまだで、社内の雰囲気を悪くしてしまった事もあれば、
働きすぎて周りに迷惑をかけてしまった事、
この4年の反省点は大きくありますし、失ったものも、これから失うであろうものも多々あります。
ただそれでもとにかく「続ける事」「改善していく事」。
売上が立ったあと伸ばす時期は、IQでもEQでもなく、
AQ(逆境を乗り越えていく能力)が大切だと感じています。
開き直るのではなく、反省を常に続けつつ、
自分も、事業も、全力で改善して伸ばしていく。
そう生きれば、全部が終わった際に、「実感のある成功」が手に入るのだと思っています。
この「実感のある成功」と表現したものは、「運良く手に入った非現実的な成功」よりも、
自分の人生にとって、仲間の人生にとって、大きく意味のあるものになるだろうと確信しています。
以上、簡単ではありますが、ソラノデザイン流の新規事業立ち上げコラムでした。
また不定期ですが更新していきますので、
今後ともソラノデザイン合同会社を、何卒、宜しくお願い申し上げます。