公開日:2021.12.12 更新日:2021.12.12
いつもご覧いただきありがとうございます。ソラノデザイン代表の角田です。
今回はちょっと変わったコラム、「WEB制作会社内のマネジメントについて」です。
まだまだマネジメントについて学習を始めたばかりですが、
「2期目の社長はこんなことを考え始めましたよ」といった体験談としても需要があるかと思いましたので、
ビジネスパーソンの方や同じWEB業界で人材のマネジメントに携わる方にシェアできたらといった、
マネジメントに関する記事となっています。
目次
WEB制作会社2期目、課題として現れた「人材」のマネジメント
私はもともとプログラマーでした。
26歳の頃いわゆるフリーランスとして制作会社から独立し、
プログラミングやデザイン、マーケティングなど、
比較的他分野に手を出しつつ1年過ごし、フリーランスを1年やった後はすぐに会社を作り今は2期目ですので、
自分で言うのも少しやらしいですが、地方の制作会社としては比較的トントン拍子に現在の立ち位置になりました。
大量生産ができないビジネスモデルで人数に対する売り上げのトップラインは決まっているので、
キャッシュという意味ではそんなに儲かっていないですが、
「受託系のWEB制作会社」という意味ではとんとん拍子で安定してきていますね。
もちろん週7での労働は当たり前、起きてる時間は全部仕事といった、(※社員ではなく社長個人の話です)
よくある「バグってしまった人」といった感覚でこの2年半過ごしてきましたし、笑
成長に伴う「時間」の犠牲はかなりあったのですが、
プレーヤーとしてはその甲斐もあり比較的トントン拍子だったなと。
どちらかというとご依頼がありすぎまして、
スケジュール管理と、優秀なメンバーの増員・採用が目下一番の重要課題になっています。
周りから見ると順調に見えますが、正直なところ悩みがつきず、ここ数年ずっとPDCAを回しています。
そして最近、ありがたいことに新たな大きな課題が見つかり、また成長しなければいけないフェーズに差し掛かりました。
その課題というのが「人材のマネジメント」です。
いかにスタッフがトップスピードで成長しつつ、なおかつスタッフの幸福度が上がる組織づくりができるか。
冷静に考えると私が今までずっと活躍できてたのはプレーヤーとしてのフィールドで、
年齢的にもマネジメント側の仕事の経験が圧倒的に足りていません。
もちろん立場上自然と、制作のディレクションはできるようになりましたが、
最近痛感しているのは、マネジメントとディレクションは違うということです。
事業を作る才能と、事業をスケールさせる才能は別といった印象ですね。
特にソラノデザインのような小さい規模で、
労働集約型×地域密着×参入障壁の低いWEBのビジネスモデルを作るのはそんなに難しくないと思っています。
謙遜などではなく、勉強を周りの人の何倍かのスピードでやるように意識して、
数年「時間」を「仕事」に投資してコミットしておけば、割と誰でも作れる・回収できるレベルなんですね。
私が思う凄い経営者・組織について例を挙げますと、
極論ですが、プログラミングやデザインがそんなに得意でなくても、
大きなWEB制作会社を経営している凄い社長さんは世の中に沢山います。
なぜかというと、そういった社長さんはマネジメント能力が段違いに高いんです。
お客様にさらなる価値を提供したいと思うと、「個」ではなく「組織」としてバリューを提供しないといけません。
その「組織」を作り上げる能力=マネジメント能力が高い方というのは世の中でもそう多くないと感じています。
今後私もそこを目指して勉強×学習×成長を行っていかなきゃと思っています。
ソラノデザインの内情を話しますと、
(私はいっぱい残業していますが)今のところ社員の残業はほとんどありません。
多かった月でも20時間ほどだと思います。
給与も裁量性なので不満もない形態です。
時間とお金の面はクリアしているかなと思います。
しかし「組織」としてまとまり、なおかつトップスピードで成長するためには、時間とお金さえクリアなら….という簡単な話ではないと最近痛感しました。
なにか大きなトラブルがあったわけではないのですが、
言ったことが伝わらない・シェアできていないなどの小さな課題が見え隠れし、作業効率部分で損をしていたり、
指摘の仕方や教育の方針が確立されていないので、
不満が生まれやすいのではないかと考えました。
これは今のうちにマネジメント方法を盤石にしていかないといけないなと思い立った次第です。
マイクロマネジメントとマクロマネジメント
課題が見えてきて、まずはとにかくマネジメントについてひたすら調べました。
正直言ったところマネジメント能力というのは、
人間力や人としての魅力といった先天的な要素や経験年数なども大切だと思うのですが、
しかしそれを言い訳にして何もしないのも経営者としてダサいので、まずは知識をつけようと思ったんですね。
「WEB制作会社 マネジメント」「マネジメント 種類」「マネジメント 失敗例」など、
色々なキーワードで検索し、事例や得た知識結果をスプレッドシートにまとめたりしていました。
(その過程、意外とWEB制作会社に特化したマネジメントのサイトが少なく困ったので、今回記事におこしてみたといった経緯です)
さまざまな文献がありましたが、色々と広い範囲で学習しているとパターンのようなものが見えてきました。
色々読んでいると、
「上司は部下にあれこれ要求しすぎ、
社員のメンタルやモチベーションが悪くなり社員が退職するという経験を必ずして、
そのあとマネジメントを意識し始めるようになる」
というパターンが多いとの事でした。
そんな辛い経験はできる限りスキップしたいという気持ちもあり、
今のうちにマネジメントを学ぼうと、より感じています。
よくある失敗例 – マイクロマネジメントによって社員が飛んでしまう
見えてきたパターンの中でも「こうなりたくないな」と思うものがありまして、
それが「社員を詰める事」、いわゆる「マイクロマネジメント」でした。
マイクロマネジメントとは、上司が部下の行動を細かくチェックし、一挙一動指示するマネジメント方法です。正直、経営者としてはやっちゃいがちです。
シンプルに、命令されてやる仕事に人は幸福感を感じません。
自発的に仕事を行なって、何か成果を得られることに達成感や幸福感を感じることは私も同じです。
「これこうやっておいて」「これ直して」「ここがおかしい」「ここ違う」「ここをこうしよう」
といったマネジメント方法は、社員のストレス値が上がり、
長い目で見て良い組織作りは難しいなと。
社員を詰めるマネジメント方法は一番簡単なマネジメント方法に感じまして、
これ、経営層じゃなくても、正直誰でもできるかなと。
いわゆるハードスキルがある人なら誰でもできてしまって、
ソフトスキルを伸ばすべき経営層・役職者にとって、
マイクロマネジメントは価値がある方法に思えなかったんですね。
もう少しひねりが欲しいな、楽なマネジメント方法だけれども、
ちゃんと勉強してもうちょっとハイレベルなマネジメント方法ができるようになりたいな、
と思いました。
マクロマネジメント
マイクロマネジメントに対して、
「会社としての基本方針だけ伝え、やりかたや辿り着くまでの最適解を社員に見つけてもらう」のが、
マクロマネジメントです。
社員の自主性を最優先するやりかたですね。
社員の幸福度も高く、過程の問題は色々ありますが、
ソラノデザインとして目指していきたいマネジメントとしては、このマクロマネジメントかなと感じました。
しかしこのマクロマネジメント、なかなか難しいです。
というか実現のための課題が沢山見えてきます。
マクロマネジメントを実現するための課題
マイクロマネジメントとマクロマネジメントをざっくりと学び、
マクロマネジメントが理想だなと思いましたが、
しかし、技術力がものをいうWEB制作業界で、甘い事ばかりは言ってられません。
「明日から100%マクロマネジメントでやります!」というわけにはいかなそうです。
マクロマネジメントに移行するために解決しなければいけない課題が複数あり、
段階を踏んで解決していかなければなりません。
まず大きな課題は、社員が自分自身の発言や一挙一動に対するコスト意識が低いと、営業利益はどんどん下がっていきます。
調べてみても、社内の雰囲気が良くなっても、反比例して売上が下がったといった事例が多々ありました。
簡単に書きますと、
雰囲気OK× 売上OK
が理想ですよね。
雰囲気OK × 売上NG
なんて、
趣味のサークルならOKですが、
給与やお金が発生するビジネスとしては意味がありません。
つまり、「雰囲気OK × 売上OK」といた組織づくりが一番難しいと学びました。
つまり、雰囲気も良く売上も良くというのは難しいと。
社内の幸福度が上がっても、
結果、リスクを負って頑張って作り上げてきた会社が倒産するなんていうのはごめんでしたので、
社員の幸福度と売上、どちらも担保するためにはどんな課題があるのかを洗い出してみました。
取り急ぎソラノデザインとして必要なのは、
- 社員ひとりひとりが自己解決能力を身につけ、セルフマネジメントができること
- 社内全員のコスト意識を高める事
- 「課題を見つける」ことと「その課題の解決方法」を同時に考えられる思考パターンを身につける事
の3つです。
ひとつひとつ記載させて頂きます。
社員ひとりひとりが自己解決能力を身につけ、セルフマネジメントができること
マクロマネジメントにより楽しく働け、なおかつ売上も伸ばし企業として成長していくために、
まずは社員一人一人の自己解決能力を養わなければと感じました。
「本人が自覚している」課題と、「自覚のない課題」ってあると思うんですね。
「やってしまった、申し訳ない」といった形で社員が私にミスの報告をしてくることは今でもあります。
本人が自覚しているミスは、本人がちゃんと倫理観を持って仕事に取り組んでいれば成長すると思うんです。
(課題を理解しているのに成長しようとしない、楽をしたいだけの甘えた人材は弊社にはいないので、そういう人材への対応は割愛します)
問題は「本人が自覚していない課題やミス」ですよね。
結局のところ本人が課題やミスに自分で気づき、そのために成長しようと努力する能力、
つまりセルフマネジメントの能力がないと、
どれだけマクロマネジメントを目指しても、結果的にマイクロマネジメントになると感じました。
取り急ぎ社内会議を行なって、自己マネジメント能力を高めるためにどうするか、
一人一人面談を行いました。
ミスのパターンなどもそれぞれがディスカッション形式で互いの欠点やミスのパターンを洗い出し、
自分を俯瞰で見る能力を高めていこうと言った狙いですね。
特に今回は「楽しく働けて売上もあげる組織づくり」といった目標も説明してミーティングに取り組んだので、
よくある「社長、意識高い系みたいなことやってるよ」みたいな批判は避けられたと思います。笑
日進月歩ですが、定期的にミーティングやミスのパターン、課題のパターンを各々が洗い出し、
前向きに会社として個人個人の「セルフマネジメント力」を高めていこうと動いています。
社内全員のコスト意識を高める事
これは意外と色々なWEB制作会社でも課題となっていると思うのですが、
社員ひとりひとりのコスト意識が低く、自由な意思決定を社員にさせづらいという点です。
この契約書独特だから、作るとすると、司法書士さんに8万円払わなきゃいけないけど、
この案件の利益8万円もないよね?ですとか、
シンプルに受注を決めてきても、先方さんに提案した金額と、先方さんが求めるページ数あってないよね?
みたいなところですね。。苦笑
社員のコスト意識を高める事で、よりマクロマネジメントをしやすくなると感じました。
ここはシンプルに社内勉強会ですね。コスト面キャッシュフロー面を開示し、社内に教育制度を設けます。
また、日々の仕事の会話で、デザインやプログラミングの話だけではなく、
クライアント様の財務状況や社内のコスト状況、
クライアント様にとってソラノデザインでWEBサイトを制作するROI(費用対効果)を会話に盛り込み、
常にそういった意識がどこかにある….そんな状態にしたいですね。
あとはいわゆる、ビジネスパーソンがよく言う言い方ですと。PL型かBS型かですね。
PL型はいわゆる目先の収益の最大化を求める思考で、
対してBS型は将来的な収益の最大化・最適化するタイプの事をいうのですが、
マクロマネジメントを行うのであれば、PL型・BS型双方を良い塩梅で双方大切にしたスタッフが増えていくと嬉しいですね。
「課題を見つける」ことと「その課題の解決方法」を同時に考えられる思考パターンを身につける事
「給料を上げたい」「残業をなくしたい」「なんだったら週4しか働きたくない」
一例ですが、これはほとんどの社会人が思っています。笑
しかし、課題を見つけることは誰でもできるんですが、
その課題の解決方法を国や会社や社内の誰かに投げつけて、
解決に向けた行動や提案を一切しない人、結構いるんですよね。
これは以前社内でも話し合ったのですが、
- 「課題の発見」と「解決方法の考案」をイコールにする癖をつける
- 思い立った時の行動力が早い人が成功する
といった話を皆でしました。
特に社長さんで成功している人を見ているとこの傾向が強く、
課題をみつける⇨解決方法を考え思いつく⇨実行する
までがメチャメチャ早いんですね。
マクロマネジメントというのは、言ってしまえば社員の自主性を大切にする事。
こういった思考パターンを、みんなで身につけられるよう意識していこう!といった話をしました。
マクロマネジメントを確立し実現していくために、
まずは個々人がセルフマネジメントを行う事が第一歩だと思います。
思考パターンや課題の見つけ方について、より一層、互いに支え合いつつ、
最適解を見つけていこうと思っています。
以上、私がここ2週間調べた範囲ですが、
WEB制作会社のマネジメント方法に関する記事でした。
ちょっとニッチな記事かもしれませんが、
読んで頂けた方、誠にありがとうございます。
今後ともソラノデザインを、どうぞ宜しくお願い申し上げます。