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やればやるほど苦しくならないために | マーケティング前の市場分析の大切さ

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公開日:2026.07.12    更新日:2026.07.12

いつもご覧いただき誠にありがとうございます。
ソラノデザイン代表の角田です。

 

若手の頃フリーランスとして、

いくつかの事業を行ってみて、何度か経験したことがあります。

 

それは「売れていたのに、お金が残らない」という経験です。

 

 

売れていなかったわけではないんです。

お客様も来てくださっていた。

一緒にやってたメンバーも、本当によく働いていた。

 

 

それでも、残らなかった。

 

 

これは、能力の問題でも、努力の問題でもありませんでした。

構造の問題でした。

 

 

今日は、そんなテーマのコラムです。

 

 

「売れているのに、お金がない」という状態

経営をしていると、必ず一度は出会う状態があります。

 

売上は伸びている。
忙しさも増している。
周りからは「うまくいってますね」と言われる。

 

なのに、通帳の残高が増えない。

 

 

これ、精神的に本当にきついんです。

 

なぜなら「もっと頑張れば解決する」と思ってしまうから。

 

 

売上が足りないから残らないんだ、と。

 

もっと売れば、もっと出店すれば、もっと作れば、
いつか楽になるはずだ、と。

 

 

 

しかし、事業には2種類あります。

 

  1. やればやるほど、楽になっていく事業
  2. やればやるほど、苦しくなっていく事業

 

そして後者に足を踏み入れていると、
売上を伸ばすほど、状況は悪化していきます。

 

 

これは、精神論ではありません。

マーケティング担当者や経営者が、会社を守るために覚えるべき、ひとつめの学びなんです。

 

 

限界利益率という、残酷な数字

少しだけ、退屈な話をさせてください。

 

 

売上が1つ増えたときに、それに連動して増えるコストを「変動費」と言います。

原材料費、人が手を動かす工賃、販売手数料、出店の歩率。

 

売上から変動費を引いたものが、限界利益です。

 

 

たとえば。

 

売価3,000円の商品があるとします。

 

  • 材料費:500円
  • 梱包やパッケージ工賃:1,000円
  • 売る場所に払う決済手数料や家賃:800円

 

限界利益は、700円。限界利益率は、23%です。

 

 

この事業で、他にも交通費や打ち合わせコストなど、固定費が月30万円かかっているとしたら。

 

月に130万円売って、ようやくトントン。

 

 

そして恐ろしいのはここからです。

 

この事業が、売上を2倍にしたとします。

 

売上は倍。作業量も倍。忙しさも倍。心労も倍。

 

しかし、増えた利益はたったの30万円です。

 

 

 

限界利益率が低い事業は、売れば売るほど、忙しくなるだけで、豊かにならない。

 

これが、「やればやるほど苦しくなる」の正体です。

 

 

私は若手の頃、この数字をちゃんと見ていませんでした。

 

見ていたつもりでした。

でも、「売上」と「粗利」、「原価」しか見ていなかった。

 

「あと1つ売れたとき、いくら残るのか」を見ていなかった。

 

 

事業を殺すのは、固定費ではない

起業した人の多くが、固定費を怖がります。

 

家賃。人件費。設備。

 

「固定費を持つな」というのは、経営の格言のように語られます。

 

 

しかし、私が5年やって痛感したのは、少し違うことでした。

 

 

事業を静かに殺すのは、固定費ではなく「変動費」です。

 

 

固定費は、目に見えます。

 

毎月の家賃は、通帳から定額で出ていく。

痛みがあるから、必ず意識します。

 

 

でも変動費は、売上と一緒に増えるから、痛みを感じない。

 

 

売上が増えている。だから手数料も増えた。当然だ。
売上が増えている。だから出店料も増えた。当然だ。
売上が増えている。だから遠征費も増えた。当然だ。

 

 

全部「当然」で処理されて、誰も止めません。

 

 

 

直近のことで言えば、私の実店舗も、まさにそうでした。

 

家賃は毎月睨みつけていたのに、

売上に比例して膨らんでいく人件費と手数料と物流費。

「売れてるから仕方ない」で見送るわけにはいきませんでした。

 

 

この場合、家賃を下げる交渉に時間を使うより、
限界利益率を3%上げる設計に時間を使うべきです。

 

もっと言えば、傷が浅いうちの撤退判断が必要です。

 

 

意思決定のなかで一番心情的に難しいのは、

「撤退」「カット」だと、よく同級生の経営者とも話します。

 

 

「人気」と「儲かること」は、違う

これも、痛い話です。

 

 

事業が少し軌道に乗ると、声がかかるようになります。

 

「ずっと見てました」

「このイベントに出ませんか」

「この案件、お願いできませんか」

 

 

嬉しいんです。本当に。

 

無名だった頃を知っているからこそ、呼ばれることが、
自分たちが認められた証明のように感じられる。

 

 

 

そして、断れなくなります。

 

 

また、ついつい月商ばかり見て事業の成長・衰退を判断し、

売上利益を見落としがちだったり。

 

 

ここに、大きな落とし穴があります。

 

 

 

 

私は昔、案件ごとの単体の損益を、出していませんでした。

 

全部まとめて「今月の売上」として見ていた。

 

 

だから、赤字の案件と、黒字の案件が、混ざったまま平均化されて、

「まあ、全体としては回っているし」で終わっていた。

 

 

これをやっている限り、絶対に気づけません。

 

 

1件ごと、1店舗ごと、1回ごとの損益を、必ず単体で出す。

 

 

移動費も、宿泊費も、自分たちの時間も、全部そこに入れる。

 

「自分の労働はタダ」で計算した瞬間、その事業は必ず判断を誤ります。

 

 

 

私が直近、実店舗を閉めると決められたのは、
毎晩、家に帰って寝る前、店舗単体のPLと、限界利益率を毎月出していたからです。

 

数字が、決断を代わりにしてくれました。

 

 

数字がなかったら、私はまだ、続けていたと思います。

 

「お客様が来てくれているから」

「スタッフが頑張ってくれているから」

「もう少しやれば、風向きが変わるかもしれないから」

 

 

数字がないと、人は「情」で判断してしまう。

 

そして情での判断は、大抵、撤退を遅らせる方向にしか働きません。

 

 

わかっていても、なかなか撤退できず、

痛い目にあってしまうものなのですが。

 

私も若手どころか、30歳のころ意思決定を誤った経験があります。

それほど、経営にとって「情」というのは恐ろしいものです。

 

 

想いは、利益でしか守れない

ここが、今日、一番書きたかったことです。

 

 

想いのある事業ほど、数字から目を逸らしてしまいます。

 

先月の私自身がそうだったから、痛いほどわかります。

 

 

「私たちがやっていることには、意味がある」

「お金じゃない価値がある」

 

 

そう思えるからこそ、赤字を耐えられてしまう。

 

 

自分の給料を削れる。休みを削れる。

耐えられてしまうことが、恐ろしいんです。

 

 

 

 

しかし、考えてみてください。

 

 

その想いを、来年も再来年も続けるために、必要なものは何か。

 

 

誰かに仕事を渡し続けたいなら、その報酬を払い続ける原資がいる。

誰かの生活を支えたいなら、その支払いが途切れない仕組みがいる。

 

 

想いだけでは、来月の振込はできません。

 

そのため、私は以前に増して、

スタッフには口厳しく言っています。

 

「売上・利益を何より見よう」と。

 

 

 

私が、数々の先輩方の教えや、事例を見る限り、

 

想いのある事業を殺すのは、想いのなさではありません。

お金がなくなることです。

 

 

 

 

理念を守りたいからこそ、売上と利益を、誰よりも冷たく見る。

誰よりも真剣に、誰よりもがむしゃらに、誰よりも冷たく事業を見る。

 

 

理念と数字は、対立しません。

 

数字は、理念を守るための「塀」です。

 

 

塀のない理念は、風が吹けば、すぐに倒れます。

 

 

 

そして一番残酷なのは、

理念のある事業が、理念のせいではなく、

数字を見なかったせいで潰れることです。

 

 

 

そんなの、あまりに悔しいじゃないですか。

 

 

 

市場選定が、努力の天井を決める

以前のコラムでも書きましたが、これは何度でも書きます。

 

事業の成否は、能力よりも市場選定で決まる。

 

 

市場選定が天井を決め、執行が天井の下のどこに着地するかを決める。

 

 

 

そして、この文脈で最も危ないのは、

「限界利益率が低い市場に、能力のある人が入ること」です。

 

 

 

能力がない人なら、そこそこで潰れて、小さく撤退できます。

 

 

でも能力がある人は、限界利益率が低い市場でも、そこそこ戦えてしまう。

 

 

売上は立つ。

評判も上がる。

 

 

だから、崩れるまで気づけない。

 

 

気づけないまま、時間と体力と、人生を注ぎ込んでしまう。

 

 

 

これは、能力への罰みたいなものだと思っています。

 

 

 

私が実店舗でやったのは、まさにこれでした。

 

小売という、限界利益率が構造的に低い市場に、

「自分ならやれる」と思って入り、

11月から250日ほど連勤し、

そして実際、そこそこはやれてしまった。

 

 

そこそこやれたことが、一番の不幸でした。

 

 

「積み上がるもの」を、持っているか

では、どうすればいいのか。

 

 

私が今、新しい事業を設計するときに必ず自問しているのは、これです。

 

 

この事業には、「積み上がるもの」があるか。

 

 

 

積み上がらない事業とは、
売るたびに、また同じだけ手を動かさないといけない事業です。

 

 

1つ売れたら、1つ作る。

10倍売るには、10倍作る。

 

人を10倍にするか、自分が10倍働くしかない。

 

 

努力が、資産にならない。毎回リセットされる。

 

 

 

積み上がる事業とは、
一度作ったものが、二度目からは働かずに売れる事業です。

 

 

コンテンツ。仕組み。型。設計図。

リピート商材。

一度書けば、資産として残るもの。

 

 

 

 

そして、多くの事業には、この両方が混ざっています。

 

 

大事なのは、売上構成の中で、「積み上がる側」の比率を上げ続けることです。

 

 

今、売上の9割が「手を動かさないと1円も入らないもの」で構成されているなら、

その事業は、成長すればするほど苦しくなります。

 

 

売上を追う前に、売上の「質」を組み替える。

 

 

 

同じ月商100万円でも、

限界利益率20%の100万円と、
限界利益率70%の100万円では、

まったく違う人生になります。

 

 

撤退基準は、元気なうちに決めておく

 

これはあくまで、ハードワークする割には、年と共に心身がそこまで強くないであろう、私なりの答えなのかもしれませんが。

 

2023年以降私は、

「撤退基準は、元気なうちに決めておく。」と自分に約束してます。

 

 

撤退基準は、事業がうまくいっているうちに、決めておくべきです。

 

キャッシュフローなり、体調なり、何かが苦しくなってからでは、絶対に決められません。

 

 

 

苦しいときの人間は、撤退を「敗北」だと感じます。

期待してくれた人の顔が浮かびます。

ここまでかけた時間が惜しくなります。

 

 

だから、判断が歪みます。私も歪んだことは何度もあります。

 

 

 

数字が良いうちに、冷静な自分が、未来の弱った自分のために、

線を引いておく。

 

 

  • 限界利益率が◯%を下回ったら、その商品はやめる
  • 単体で◯ヶ月連続赤字なら、その拠点は畳む

 

 

これは、後ろ向きな話ではありません。

 

 

撤退基準があるからこそ、思い切って攻められる。

 

 

線が引いてあるから、線の内側では全力で走れるんです。

 

 

「この事業は3年後にこの数字までいかなかったらやめる」

そこまで期限を決めるからこそ、ひとつひとつの仕事に、

1日1日の仕事に、真剣に向き合えます。

 

 

これまでの反省をまとめると

売上だけを見て、限界利益を見なかった。

固定費を怖がって、変動費を見送った。

呼ばれることを、儲かることと勘違いした。

情で判断して、撤退を遅らせた。

 

 

 

そして、一番間違えていたのは、

 

「頑張れば、いつか楽になる」と思っていたことです。

 

 

 

構造が間違っていると、頑張るほど、苦しくなります。

 

 

 

 

もし今、何かを一生懸命やっていて、

売れているのに、なぜか楽にならない人がいたら。

 

 

それは、あなたの努力が足りないからではないと思います。

 

 

頑張る場所と、頑張り方の構造が、少しだけズレているだけです。

 

 

 

そして、それは直せます。

 

 

商品を1つ、限界利益率の高いものに入れ替えるだけで、変わることがある。

案件ごとのPLを、1ヶ月だけ出してみるだけで、見える景色が変わることがある。

 

 

 

 

大切なのは、能力ではなく、構造。

 

 

そして構造は、いつでも、誰でも、組み替えられます。

 

 

 

 

私も、8月にひとつ、ある事業のオフラインチャネルを閉じます。

創業時の想いを汲み、別の形で残しておくつもりではありますが。

 

 

この意思決定には、情けない気持ちも、正直あります。

 

 

でも、閉じたから、次に賭けられる。

今いるスタッフの雇用を、より安定したものにできる。

 

 

若手の頃と同じ失敗は二度としません。

 

 

「狭く支配する」の、その先の話

最後に、もうひとつだけ書かせてください。

ここからが本題です。

 

 

 

 

以前のコラムで、私はこう書きました。

 

「小さな独占を見つけ、そこから同心円状に広げていくこと。」

 

 

これは、今の私にとって、一番重要な考え方となっています。

 

 

 

いきなり大きな市場を狙うな。

まず、自分が完全に支配できるほど小さな市場を見つけろ。

そこを100%取ってから、隣へ、隣へと広げていけ。

 

 

私は、この考え方が本当に好きでした。

 

 

 

しかし、この1年、私はこの理屈に、

大事な条件が抜けていたことに気づきました。

 

 

 

「その小さな市場の、隣には何があるのか」

 

 

これを先に見ていなかったんです。

 

 

池の市場と、川の市場

市場には、2種類あると思っています。

 

 

ひとつは、「池」のような市場。

 

小さく、閉じていて、周りには何もない。

 

 

支配は、できます。

むしろ小さいから、支配しやすい。

 

 

でも、支配した瞬間に、行き止まりです。

 

 

100%取っても、その池の水量が上限。

そして隣に泳いでいく先が、どこにもない。

 

 

 

もうひとつは、「川」のような市場。

 

入口は同じくらい小さい。

けれど、その先が、湖や海につながっている。

 

 

支配すると、次の水域への入場券が手に入る。

 

 

 

 

問題は、どちらも、入口では見分けがつかないことです。

 

 

どちらも、小さくて、ニッチで、誰も見向きもしていない。

「ここなら勝てそうだ」と思える。

 

 

そして、実際に勝てる。

 

 

勝ってから、どちらだったかを知ることになります。

 

 

金沢のSEOに強いホームページ制作会社と、

もうひとつもっている別事業。

 

 

どちらも支配したとは言い切れませんが、

年数を重ねるごとに、「支配した先」の違いと、

事業の特性が見えてきました。

 

 

なぜAmazonは、「本」から始めたのか

有名な話ですが、この視点で見ると、Amazonの選択はレベルが違いました。

 

 

Amazonは、オンライン書店として始まりました。

 

 

しかし、本という商材そのものは、

 

粗利率が低く、単価も安く、

お世辞にも、儲かる商材ではありません。

 

 

 

では、なぜ本だったのか。

 

 

 

本は、「川」だったからです。

 

 

 

本は、規格が完全に統一されています。

品目数が、途方もなく多い。

腐らないし、壊れにくい。

 

 

つまり、本で「支配」を作る過程で、

 

  • 膨大な商品データを扱う仕組み
  • 全米に届ける物流網
  • レビューが集まる仕組み
  • そして何より、「ネットで買っても大丈夫だ」という信頼

 

これらが、勝手に積み上がっていく。

 

 

 

そして、この4つは全部、本以外にもそのまま使えます。

 

 

CDにも、DVDにも、家電にも、日用品にも。

 

 

だから、隣に行けた。

 

本から、CD、DVDと、同心円上に広げたんです。

 

 

 

そしてAmazonはその物流と計算基盤も同心円で広げ、

最終的にAWSになりました。

 

 

 

 

Facebookも同じです。

 

ハーバードの学生という、極端に狭い市場から始めた。

 

 

しかし人間関係というのは、大学の外に、そのまま連結しています。

 

 

ハーバードを取れば、アイビーリーグに滲み出す。

大学を取れば、社会人に滲み出す。

 

市場そのものが、隣とつながっている構造でした。

 

 

 

 

彼らは、「小さく勝てる市場」を選んだのではありません。

「小さく勝ったあと、隣に行ける市場」を選んだんです。

 

 

 

これは、まったく別の判断です。

 

 

支配した後に、「何が残るか」

では、私たちのような小さな会社が、
何を見て、池か川かを判断すればいいのか。

 

 

あくまで私はですが、問いは、ひとつだと思っています。

 

 

 

「この市場を100%取ったとき、手元に何が残るのか。」

 

 

 

売上は残りません。

売上は、その市場と一緒に消えます。

 

 

 

残るのは、こういうものです。

 

  • 顧客リストと、「このブランドから買いたい」という指名性
  • 買われ方・使われ方のデータ
  • 作る・届ける・売るという、鍛えられたオペレーション
  • 人(仲間、職人、パートナー)のネットワーク
  • そして、ブランドが持ってしまった「意味」

 

 

 

この5つ”すべて”が、隣の商品に持っていけるか。

 

 

持っていけるなら、それは川です。

 

 

持っていけないなら、それは池です。

 

 

そして事業家はこれをバイアス、理想論に引っ張られ捉えがちですが、

「池なのか、川なのか。」を感情やこれまでの努力に、引っ張られず判断する力が必要です。

 

 

 

具体的に言えば、こういう質問に答えられるかどうかです。

 

 

「この商品カテゴリが、明日ブームごと消えたとして。」

「私たちのお客様は、次に、私たちから何を買ってくれますか?」

 

 

 

この問いに、具体的な商品名で即答できるなら、川です。

 

 

 

言葉に詰まるなら、そこは池です。

 

 

 

 

そして、この問いは、

市場を支配してからでは、遅すぎます。

 

小さな市場であれ、20%支配するだけでも大変なのがビジネス。

 

100%支配には、相当な労力が必要です。

 

そのあと、気がついてからでは、遅すぎます。

 

 

勝ってから、撤退してもいい

ここが、私が一番言いたいところです。

 

もし私や、これを読んでいる誰かが、

市場の支配に成功した場合。

 

その市場が池だった場合、正しい選択は「撤退」です。

 

 

 

これは、負けたから撤退するのではありません。

 

勝ったのに、撤退するんです。

 

 

 

そんなこと、できるでしょうか。

 

 

正直、めちゃくちゃ難しいと思います。

 

 

 

だって、勝っているんです。

 

一番になっている。

指名で選ばれている。

声もかかる。

 

 

その状態で「この池には未来がない」と言えるか。

 

 

 

 

私には、まだ自信がありません。

 

 

 

だからこそ、入る前に決めておくしかないんです。

 

 

 

これが、ひとつ前の章で書いた「撤退基準」と、完全につながります。

 

 

 

撤退基準とは、数字の話だけではありません。

 

 

 

「限界利益率が◯%を切ったらやめる」

 

これと同じ強さで、

 

 

「この市場を取ったあと、隣に何を売るか。」

 

 

これを、事業を始める日に、書いておく。

 

 

 

書けないなら、そこには入らない。

 

 

これが、私が5年かけて、やっと手に入れた作法です。

 

 

 

今なら確実に、事業のTAM・SAM・SOMをAIで完全に計算させて、限界利益率を計算させてから、事業をはじめます。

 

大事なことなのでもう一度書きます。

TAM・SAM・SOMの計算と、限界利益率の計算が大切です。

 

実際に今仕込んでいる事業がそうです。

 

 

それでも、勝ってから考えてもいい

 

とはいえ、です。

 

 

 

もし今、すでに池を支配してしまっている人がいたら

 

 

 

それは、失敗ではないと、私は思っています。

 

 

 

 

なぜなら、「支配できた」という事実そのものが、資産だからです。

 

 

 

小さな市場でも、1位を取った人にしか手に入らないものがあります。

 

 

 

お客様は、商品を買ったのではなく、「あなたから買った」

 

その指名性は、商品カテゴリが死んでも、死にません。

 

 

一緒に作ってくれた人たち。

その人たちを集め、育て、束ねたオペレーション。

 

それは、商品が変わっても、そのまま動きます。

 

 

 

 

池で得た「勝ち方」は、川に持っていけます。

 

 

 

 

だから、やるべきことはひとつです。

 

 

池の水が干上がる前に、次の水域を、自分で決めること。

 

 

 

商品を守るのではなく、資産を持って、隣に移ること。

 

 

 

 

そのとき、「何を売っていたか」は、もう関係ありません。

 

 

「誰が、なぜ、あなたから買っていたのか」だけが残ります。

 

 

 

 

 

 

正しい市場を選び、狭く支配し、そこから同心円状に広げていく。

 

 

そして、広げる先が最初から見えている市場だけを選ぶ。

 

 

 

私はこれから、そういう事業だけをやりたい。

 

 

 

 

やればやるほど、苦しくなる方ではなく、

 

やればやるほど、楽になる方へ。

 

 

 

そして、やればやるほど、隣が見えてくる方へ。

 

 

 

 

そんなふうに日々「事業」というものの解像度を上げつつ、

毎日自社の経営と、お客様のマーケティング支援に向き合っております。

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