公開日:2026.10.28 更新日:2026.10.28
いつもご覧いただき誠にありがとうございます。
ソラノデザイン合同会社、代表の角田です。
AI、すごいですね。
非公開ですが、
自社の業務管理アプリを開発し、そこにAIを組み込みました。
「この見積もり、どうなってる?」
「⚪︎⚪︎さんの案件、進捗は?」
「⚪︎⚪︎さんの請求書、作っておいて」
「⚪︎⚪︎さんの要望、整理して俺に送って」
こんなふうに気軽に指示を出すと、
まるでめちゃくちゃ優秀な部下が増えたように、仕事が進んでいきます。

これまで3人で数日かけていた作業が、0人で数時間で終わる。
見積もりの作成も、競合の分析も、粗利率の計算も、広告の戦略立案も。
ボタン一つで、私に報告が上がってきます。
正直、結構自慢のアプリです。
(仲の良いクライアント様には提供したりもしていますが、一般公開はしていません)
しかし、今日は自社のAI搭載アプリを自慢したいのではありません。
書きたいのは、
AI時代に、どうビジネスをするか。
という、価値観の話です。
このアプリを使いながら仕事をしていて、はっきり感じたことがあります。
もう「速度」では、人間は差別化できない。
AIが、全員に同じ速度を配ってしまったからです。
では、最後に何が残るのか。
私はそれを、「設計思想」と「センス」だと考えています。
そしてこの時代を、「設計思想の時代」と呼ぶことにしました。
目次
速度の時代は、もう終わっている

作業の高速化・効率化については、もう結論が出ています。
「AIを使い倒すことを徹底する」。
そのひとことに尽きます。
弊社では、来月から、他社に比べて浮いた人件費を、
制作費用の割安感としてクライアント様に還元したり、
広告費に回したりする予定です。
クライアント様のリフォーム業者様では、積算から原価管理まで自動化しました。
メール返信文のチェックも、判断に迷ったときの相談相手も、もうAIです。
社内の誰かが違和感のあるメールを送る、ということは、もう起こりません。
そんな時代になったんです。

これは、ホワイトカラーの話です。
ただし、ビジネスモデルの話ではありません。
どんな業種にも、必ず「ホワイトカラー」の業務は存在します。
バックオフィス、税理、労務。
それらは全て、正しくAIを使いこなせば、人より速く、人件費より格段に安い。
人の努力で「速度」を最大化する時代は、もう終わっています。
今すでに、です。
なぜ、AI導入は避けられないのか
「作業」だけのホワイトカラー業務は、AIが代替していきます。
これは、誰かの能力の話ではありません。
構造の話です。
他社がAIに業務を移し、浮いた人件費を広告費やTVCMに回す。
そうすると、自社もそうせざるを得ない。でないと潰れる。
これが、私たちの暮らす世界の「競争構造」です。
そして、少し立ち止まって考えてみてほしいのですが。
この競争構造は、どこから生まれているのでしょうか。
「平均より上でいたい」
「自分は少し得する側でいたい」
「あの人には負けたくない」
「あの人の価値観や行動は気に食わない」
「悔しい」
そんな、
人間の、本能からです。
嫉妬、怠惰、傲慢、マウント、欲。違いに対するハレーション。
これらが、全人類から消えない限り、競争構造も消えない。
人はまだ、そこまで達観していません。
だから、合理的に考えれば、答えは一つです。
「人件費よりも安く、同じ業務をAIが代替できる」のであれば。
遅かれ早かれ、企業は、人ではなくAIを用いる選択を、せざるを得ない。
なぜなら、「世界は競争構造が発生する世界」だからです。
ここまでは、おそらく多くの方が同意してくださると思います。
ただ、本当に書きたいのは、ここから先です。
「競争構造は本能から生まれる」と書きました。
実はこの「本能」こそが、AI時代に、最も厄介な敵になります。
本能は、合理性を持っていない
最近、cisさんという投資家の方の本を読みました。
読みながらずっと考えていたのは、投資の話ではありませんでした。
正しくあることは、なぜこんなに難しいのか。
あの人に負けたくない。
あの人よりも、私が正しい。
平均より上でいたい。
損したくない。
あらゆる本能が、正常な判断を阻害する。
経営の判断も、全く同じです
たとえば、人を増やすかどうか。
数字で考えれば、答えは出ています。
それでも、人を増やしたくなるんです。
社員が多いほうが、箔がつくから。
一人より、みんなでやるほうが楽しいから。
「何人の会社ですか」と聞かれたときに、胸を張りたいから。
どれも、合理性がありません。
でも、確実に、合理的な判断を阻害し、私たちの足を引っ張ります。
AIは、正しい答えを出します
私のアプリは、毎日のように、正しい答えを出してきます。
この案件は赤字になる。
この取引先は、支払いが遅れている。
この広告は、止めたほうがいい。
全部、正しいんです。
問題は、ここから先です。
正しい答えを、人は選べない
赤字だと分かっていても、プロジェクトを止められない。
ここまで時間をかけたのだから、と思ってしまう。
関係が悪くなるのが怖いから、強く言えない。
広告を止めたほうがいいと分かっていても、止められない。
ここでやめたら、今までのお金が無駄になる気がするから。
最先端を走っていると思われたいから、AI事業を進める。
認められたいから。
答えは、目の前にあるはずなのに。
本能が邪魔をして、「それでも、選べない。」
そして、ここが怖いところですが。
選べなかった分だけ、確実に、損が積み上がります。
取れたはずの案件を、取れない。
守れたはずの利益を、失う。
やがてそれは、
誰かの給料が上がらない、という形で現れます。
誰かが本能に負けた結果を、
誰かが引き受けることになる。
これは、まぎれもなく「不幸」であり、「判断ミス」です。
だから私は、AIをこう使っています。
自分の本能に、逆らうために使う。
速く作るためでも、人を減らすためでもなく。
「それ、今、感情で決めていませんか」
そう言ってくれる存在として、使う。
正しさは、土台です
しかしここで、はっきり書いておきます。
正しい意思決定は、差別化にはなりません。
それは、今のAI時代では、ただの”土台”です。
土台がなければ、建物は建ちません。
でも、土台だけでは、何も生まれない。
もはや、AIにより、
正しさは”土台”になる時代が訪れました。
正しく判断できる会社は、ようやくスタートラインに立てる。ただそれだけ。
正しく判断できない会社は、スタートラインにも立てなくなるのです。
そして、
正しいだけで差別化しようとすると、そこは価格競争です。
AIは誰にでも使えます。
正しい答えは、誰の手元にも届きます。
皆が同じ正しい動きをする”コモディティ”の上には、敗北しかありません。
では、何で差別化するのか
土台に立った。
ここから上に行かなければ、事業は伸びません。
では、今の時代、何で差別化するのか。
前述の通り、ここ1ヶ月ほど、私は、
自社の業務を効率化するために、
AIを複数導入したアプリを開発しました。
そして、AIで業務を自動化したり、自動化するアプリを作る過程で、学んだことがあります。
いや、「感じたこと」でしょうか。
「このアプリを作ることも、作るスピードも、もう誰にでも再現できる。」
「大事なのは、このアプリを何のために、どう作るかという、”設計思想”だ。」
心から、そう感じました。
私はもともと、20代をアプリ開発エンジニアとして努力した身です。
その私が、AI搭載のアプリを開発してみて、感じたのです。
速度や技術力そのものを、アイデンティティにする時代ではなくなった。
今回、私がAIの恩恵を最大化できた理由は、技術力ではなく、
「どういうアプリを作るか」を先に決めていたことにある。
そして、この気づきは、アプリ開発に限った話ではないと考えました。
「設計思想」とは何か
ここで、言葉の意味を整理しておきます。
設計思想とは、「何を作るか」を、数字ではなく信念で決めることです。
「どう作るか」「どれくらい速く作るか」は、AIが答えを出します。
でも、「そもそも何を作るのか」「誰のどんな心を動かしたいのか」は、AIには決められません。
そこには、データも、根拠も、正解もないからです。
私は、David Bowie の言葉に、その答えがあると思っています。
「誰かのために仕事をすると、良い結果にならない」
「自分の中に何かが沸き起こって、それを始めたのなら、
その心から沸き起こる何かを、信じないといけない」
「このイラストで、人は感動する」
デザインを作るとき。
コンテンツを設計するとき。
事業そのものを設計するとき。
そこに、正解はありません。
データもない。根拠もない。
あるのは、「これは、良いものだ。」という確信だけです。
そう信じて、そのイラストを描く。
そう信じて、その一行を書く。
そう信じて、その事業を始める。
AIは、「正しいデザイン」を出します。
でも、「このデザインで泣く人がいる」とは、信じられない。
市場が求めているから。
データがそう言っているから。
競合がやっているから。
そこから作ったものは、誰かのための仕事です。
そして、AIが最も得意とし、最も差がつかない領域です。
この「信じる力」のことを、私は「センス」と呼んでいます。
設計思想は、何を作るかを信念で決めること。
センスは、その信念を信じ切る力。
この二つは、同じものの表と裏です。
設計思想の時代
整理します。
第一に、本能に逆らい、正しい選択をする。
これは土台です。差別化ではありません。
ここができない限り、事業は静かに削られ続けます。
本能に逆らえず、正しい判断を下せないビジネスマンは、
スタートラインにも立てない時代になるでしょう。
第二に、その土台の上で、自分の中から沸き起こったものを信じる。
これが差別化です。
根拠はなくていい。データもなくていい。
信じ切れるかどうかが、全てです。
冒頭で、「競争構造は本能から生まれる」と書きました。
AIが全員に同じ速度を配った今、残された競争は、たった一つです。
自分の本能に、勝てるかどうか。
本能に負けて損を積み上げる会社と、
本能に逆らって正しく判断し、その上で信じたものを作る会社。
この差だけが、残ります。
お金を稼ぐ、というのは。
経済活動をする。というのは。
面倒なものです。
つらいこともあります。
数字を追いかけます。
それは現実です。
だから、皆、本能に負けます。
やりたいことをやって稼ぎたい。
こういうことをすれば、稼げると信じたい。
都合の良い夢を、現実だと信じたくなる。
そんな本能と裏腹に、現実は、とにかくロジカルに進んでいきます。
しかし事業を続ける、雇用を生み出す、
皆に豊かになってもらうというのは、
そんな夢物語ではありません。
第一に、自分の本能に、勝てるかどうか。
第二に、その土台の上で、自分の中から沸き起こったものを信じられるか。
この二つが揃ったときに、
ようやく、みんなが気持ちよく働ける経済活動が成立すると、私は思っています。
経済的にも、気持ち的にも、豊かな会社や事業が作れると思っています。
難しいのは、「第一」。
本能に逆らえるかどうかです。
その2つを乗り越えるとどうでしょう。
利益が出れば、豊かな給料が払える。
信じたものがあるから、仕事が面白い。
速度は、差別化になりません。
最後に残されたのは、
本能に惑わされない俯瞰力と、
設計思想と、センスだけです。
今、弊社では複数の事業が走っています。
変化や横っ風の多い、「ハンドルをしっかり握らないといけない」と日々感じる時代。
自社の事業を守りながら。
クライアント様の事業を守りながら。
本能に逆らい、正しい設計思想と、
類稀なるセンスを持つメンバーと仕事をしながら。
AI時代を乗り越えていきたい。
いや、AI時代に適応していこう。
そう思っている次第です。