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なぜソラノデザインが2021年から自社ECサイトを仕込み始めたのか

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公開日:2023.05.03    更新日:2023.05.04

いつもご覧いただきありがとうございます。ソラノデザイン代表の角田です。

 

だいぶ主観が入っている内容なので、

自分が引退したら公開しようと思っていた記事がいくつかあるのですが、

その中でも今回、「数年後に公開しても意味がない」記事を1記事公開しようと思います。

 

「なぜソラノデザインが2021年から自社ECサイトを仕込み始めたのか」に関する記事を、

個人的・主観的な時代予想を交えて書いていく記事です。

 

ご興味のある方のみ、よろしければご覧いただけたら嬉しいです。

 

前提として、時代の変化に対する対策として、各事業の中からECを選びました。

私は起業する前から「WEB業界は近いうちに技術進歩の大波に飲まれる」理論信者でして、

起業時に書いたコラムのように、

賛否両論ある議論なんですが、そう遠くない未来、AIによって大きく時代が変わると思っています。

 

まず何が大きく変わるか予想した時に、

  • 簡単なコーディング、エンジニアリングなどの知能労働がとって変わられる
  • 検索体験が大きく変わる

色々ありますがこの2軸が大きいかなと感じています。

 

エンジニアリングなどのAI化は私のようなエンジニアとして懸念ではありますが、

それは別に他の技術を勉強すればいいだけの話で、

社員数さえ抱えなければそこまで大きなリスクには感じていません。

 

問題は検索体験やユーザーが情報を集めるプロセスが変わる事だと思っています。

つまりプラットフォームの在り方が変化するのではないかと私は予想してます。

 

現代人が望む検索体験の最終地点を考えました。

おそらく現代人が求める検索体験・情報収集体験の最終地点は、

「聞いたらすぐに答えが返ってくる、知見のある人間に質問して答えを得るような体験をデジタルデバイス上で再現する事」

であることは間違い無いと思います。

 

「マンションと持ち家、どっちが良いだろう?」「おすすめのマッチングアプリは?」「リビングにはどんな木材の家具を置けばいいかな?」

そんな質問に人間は答えてくれますが、

 

現代のモバイル体験上は違います。

 

文字を入力し、検索し、検索結果の中から目的のページを見つけて、

そのページの中から目的の情報を得る。それが現代です。

 

例えば「持ち家とマンション、どっちがいいだろう」と思っているときに、

Googleで「持ち家 メリット デメリット」と検索したり、「マンション デメリット」などと検索し、

さまざまなサイトから多様な情報を得て、

 

もし必要があれば「家・マンションの購入ならソラノリビング!」みたいなメディアサイトを閲覧するかもしれません。

 

ただこういった検索体験はAIの成長に伴い、無くなるだろうと考えました。

 

人に質問し返ってくるような体験、また、それに加え、

今YouTubeやInstagramが行っているようなユーザーごとにパーソナライズされた”コンテンツのアテンド”のような情報収集体験の精度も上がるでしょう。

 

つまり、「うちのリビングに合うおすすめのテーブルは?」とデバイスに音声で質問すると、

「自分に合ったテーブルの写真や仕様、価格」がデバイスに表示されます。

 

自分の好みの情報は勝手にパーソナライズされて出てきます。

これはSNSが将来ポータルサイト的な役割も担うことを意味するでしょう。

 

後述しますが、残っているのは一昔前の雑誌体験のような、

「憧れがある・信頼している媒体から降ってくる情報」のみでしょう。

 

次項では、”変化する検索体験”の何が我々のWEBビジネス上の懸念点かご説明します。

 

我々WEB制作の人間にとって困るのは、「検索結果」や「WEBサイト」の介在価値です。

タイトル通り、検索体験が進化した時代に我々WEB事業者が何に困るのかと言いますと、

「WEBサイト自体の介在価値」だと私は考えました。

 

ユーザーが「私好みの良いお茶が欲しい」と「商品を欲して」いる状態で、

ユーザーにとって必要なのは「私好みの良いお茶」のみです。

 

これまではそれを見つけるための最適なツールとして、

「検索結果」や「WEBサイト」が存在していました。

 

つまり本来は「ユーザー → 商品(単品)」という導線であるにも関わらず、

現代技術のレベルでは

ユーザー → 文字の入力 → 検索 → 検索結果 → WEBサイト → 商品ページやカテゴリページ → 目的の商品(複数)→ 商品(単品)

になっているという事です。

 

現代では殆どのケースで、この「ユーザー」と「商品」の間にあるのがWEBサイトです。

 

ただAIが発達し「私好みのお茶を教えて」とデバイスに話しかけるだけで、

WEBサイトではなく「商品そのもの」が端末に表示されてしまっては、

これまで必要とされていたWEBサイトや検索結果に介在価値がなくなります。

 

2年前、私がEC事業を仕込む前の頃、これはエンジニアリングのAI化なんかよりよっぽどの懸念事項だと考えました。

 

 

では「AIが進化した未来でも、ユーザーにとって介在価値のあるWEBサイトとはなんだろう」と考えたときに、

 

「”そのWEBサイトに訪れる事自体”が”ユーザーにとって価値になる”WEBサイトを構築しマネタイズポイントを置く事」が大切だと感じました。

 

ビジネスパーソンの間でCustomer ExperienceやUser Experienceという言葉が流行って数年経ちますが、

時代的にも現代のユーザーはついに、”デジタルデバイス上での体験そのもの”にも、

まるでオフラインイベントに参加するようにキャッシュを落としているのは皆さん周知の事実です。

 

 

ではそういったAI発達後でも介在価値がある”体験型WEBサイト”の中で、

私の会社のレベルや私のレベル感や資金レベルで再現性のあるものは何だろうと考えたときに、

例えばAmazon Prime Videoのような動画サブスクサービスはとてもじゃないですがそんな大きな原資はないので戦える市場じゃありません。

 

私が再現性を見出したのは「メディア」と「EC」でした。

 

元来私の考え方として、「ブルーオーシャンで戦う方が難しい。それは市場を作る活動に近く博打になる。」というものがあります。

レッドオーシャンの方が既に市場に人がいるので、そこに置きに行くビジネスのほうが再現性があり打率が高いという考え方です。

 

これは実際に、色々ゼロイチに携わってきた私の経験上そうでした。

 

また、既に市場がある場所で、レッドオーシャンまでは競合がいない場所・攻めれる余地があるビジネス領域を”パープルオーシャン”と呼びます。

私は保守的な経営者なので、この”パープルオーシャン”を攻めて成功させるのが得意です。

 

Eコマースのサイトの中には、「世界観」「メディア」でユーザーを惹きつけ、

ペイウォールの向こう側、つまり”メディアで楽しんだ世界観の延長線上”に”追体験としてのコマースがある”ようなビジネスモデルが2020年時点で存在していました。

 

ユーザーはお気に入りの定期購読誌のようにWEBサイトを訪れ、

世界観や思わぬ情報を、「信頼と憧れ = ブランド」をベースに楽しみ、体験の延長線上に商品やマネタイズポイントがありました。

 

  • AIが発達した未来でもWEBサイトとして介在価値があるかもしれない
  • 私のこれまでの知見を活かしトライできそうなビジネス
  • 息が長く流行りものでは無い

ビジネスはこれだと感じ、EC事業に軸足を置き始めました。

 

私が真似してもしょうがない、2020年前後に流行したDtoC単品リピート通販

 

EC事業といえば、ビジネスパーソンの耳に新しいのは2020年前後に流行ったDtoC単品リピート通販事業じゃないでしょうか?

 

これはCPAをLTVで回収するモデルで広告施策を打ちROIを100%以上にする & DtoCなので自社で商品開発・販売するモデルでした。

 

こうしてビジネス専門用語ばかりだとややこしいので少し分解してご説明しましょう。

 

先に結論を申しますと、私はこのモデルは息が長いモデルでは無いと思い、手を出しませんでした。

短期で稼ぎきり数年でM&Aなどで撤退するのが最適なモデルで、

老舗のメーカーさん以外は新規参入しても事業としての息の長さは無いと判断し、

単品リピート通販 × 広告モデルのコマースは手を出すつもりはありません。

 

つまりあのタピオカ様や高級食パン様でも時代の流行り廃りに振り回されてる中、

AIが迫り来る中ソラノデザインが、”数十年社員を守れるレベルで単品リピート通販を展開する”なんて確率は天文学的数字だと感じました。笑

 

ではこのモデルの説明に入りましょう。

 

単品リピート通販事業のビジネスモデルとは

まず大前提としてあるのは、このビジネスモデルでは、

リピートしやすい商材を開発しDtoCで販売する事。

 

手を出しやすいものとして、

「シャンプー」「コーヒー豆」「化粧水」「育毛剤」、

などの日用品や飲食系が多いでしょう。

 

これらは基本的にリピートしやすい商材(CPAをLTVで回収しやすい商材)です。

 

広告のCPC(クリック単価)が高い現代、

例えば1クリック100円ですと100クリックで10000円です。

 

つまりCVR(成約率)が1%の場合、CPC(クリック単価)が100円だと、

CPO(1注文獲得単価)は10000円という事になります。

 

(余談ですが、実は昔はこんな高くなかった、良い時代がありました)

 

一つの商品を1個売るのに、10000円の広告費がかかる。

 

とはいえ売上ではなく利益ベースで1販売 / 10000円の商材というのはなかなか現実的ではありません。

 

ユーザーはそんなにポンポンと、広告から2万円の商品を買ってくれるほど、

世の中にお金持ちは多く無いでしょう。

 

むしろ日本は格差は広がっていませんが皆で貧乏になって行きつつある国です。

 

「富裕層向けの商材扱えばいいじゃん」とも思うかもですが、

ペルソナ設計から事業のゼロイチ成功をやった事のある方はわかるかもしれませんが、

実際に富裕層ではない地方の中小企業の我々が、

toBでなくtoC領域で富裕層ペルソナの解像度を上げていくのは至難の業すぎて再現性がありません。

 

 

そういった時代の背景もあり、2020年頃時代やCPCの変化に対応して現れ流行をさらったのが「一般層・マス層向けのDtoC単品リピート通販ビジネスモデル」でした。

 

つまりCPA(顧客獲得単価)を一回の売上で回収しようとするのではなく、

ユーザーを積極的にリピートさせる事により、1ユーザーが複数回購入してくれる座組みにする。

 

つまり広告費をLTVで回収しようといった考え方です。

 

このモデルで重要なのは、

  • 当たる商品を開発する事 = 商品開発のセンスとPDCAを回せる座組みである事
  • 広告を用いたマーケティングが得意な事
  • リピートしやすい商材を単品で取り扱う事

 

そして最大のメリットは、リピートさせる事により広告費をリピート(LTV)で回収できる事でした。

 

 

元々広告費をLTVで回収しようとするのは、

原資を持っている大企業だけが使える離れ業のようなやり方でした。

 

しかし「単品」かつ「当たれば」といった前提で、

商品開発のPDCAも回せるメーカー企業、

また商品開発センスとマーケセンスのあるスタートアップがこのモデルに多く参戦し、

大手でなくとも単品であれば広告費をLTVで回収できる事業モデルが増え、

一時期DtoC単品リピート通販は流行を迎え、市場規模も拡大しました。

 

当時マザーズに上場していたスタートアップはBtoB SaaS、単品リピート通販ばかり…という時代が数年前一時期ありましたが、今は少し右肩下がりになっています。

 

BtoB SaaSの上場が減った理由は今回のコラムでは関係ないので割愛しますが、

競合過多と薬記法・景表法の改正という要因があり、

 

そしてなにより、このビジネスモデルの最大のデメリットとして見て取れるのは「世の中には流行り廃りがある」という事です。

 

私は単品リピート通販モデルを作ってもしょうがない立場でした

元々メーカー企業をやっていた、少し資本が余っていたし短期で投資して回収しよう、

マーケノウハウはあるし短期で踏んで早期撤退 or M&Aで回収しよう、

そんな方には向いている単品リピート通販モデル。

 

特に老舗のメーカーさんなんかは、「既にユーザーに愛されている商品がある」状態で、

「販路を変えるだけ」でしたし、商品開発も自社で行えるので魅力的でした。

 

しかし私がEC事業を立ち上げようと思ったとき、

当時ビジネス人脈周りで流行っていたこのモデルにも興味があったのですが、

決定的に私のKGIには合わないものがありました。

 

  • 老舗メーカー以外で、息が長いモデルがほとんどない事(もしくは粗利が月 / 200万以下等小さめ….)。
  • 元々のきっかけだった「AIが発達してもWEBサイトとして介在価値がある」状態を担保していない事。
  • つまりメディアや世界観をフロントに置いて、ペイウォールの向こう側にコマースがある設計にできない。
  • そもそも元がWEB制作会社、メーカのような商品開発のフローを整えるだけで数年かかってしまう事。

上記4つが懸念事項でした。

 

ここまで書くと結論が見えたと思うのですが、

 

私が再現したいモデルを言語化すると、

  • 「メディア・世界観をユーザーが求める設計」にする事。
  • 商品を求めるだけのユーザーに対しては未来のWEB業界の介在価値はない、商品以外の定性的な何かをユーザーに訴求する事。
  • WEBサイト事態に価値をつける事。
  • メディアや世界観をフロントに置いて、ペイウォールの向こう側にコマースがある設計。また、その向こうには必ず「複数の商品体験」があるはず。
  • 将来事業会社やメーカー、実店舗ビジネスにシフトできるスケールの幅がある。

です。

 

端的にいうと、

検索 => 広告 => 商品

という座組みでは意味がないと判断し、

単品リピート通販事業には手を出しませんでした。

 

愛されるメディアや世界観・信頼感 => 自然リピート流入 => コンテンツ体験 => ペイウォール  => 体験の延長線上に商品・コマース

 

という座組みでないと、

「AI時代に備えた投資」といった元々の原点からズレてしまいます。

 

希望の薄い・再現性の低い投資をするのであれば役員報酬を2.5倍にして積み立てN●●●をした方が良いです。

 

そんな背景もあり現在、メディアをフロントに置き複数商品を取り扱うEコマース事業を展開し始めました。

まだまだ始まったばかりで、これから真剣に踏んでいかないといけません。

 

ちょっと書き疲れたので、今日はこの辺にしようと思います。

 

本格的には立ち上がったばかりの弊社のEコマース事業、

また進捗を改めて、ビジネス視点からこのコラムに記載していこうと思います。

 

 

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