公開日:2025.09.10 更新日:2025.09.10
目次
「なんか良い」をどう作るか
商品やサービスが売れる理由を考えるとき、必ずしも「機能が一番優れている」から選ばれるわけではありません。
実際にはもっと感覚的で、説明しづらい部分が大きいと感じます。
「使い方が難しい洗濯機は売れない。しかし、”なんか良い”洗濯機は売れる。」
これは非常にシンプルですが、マーケティングの本質を突いていると思います。
「なんか良い」の正体
「なんか良い」をプロダクトに対して突き詰めると「特に不満がない」という状態になると感じています。
違和感なく生活に馴染み、安心して使える。その感覚こそが選ばれる理由になります。
私自身の例で言えば、請求書管理ソフトを選んだときがそうでした。
すべてのソフトを比較したわけではなく、触ってみて「不満はない」と思えたものを使い続けています。
この座組が、実際の購買行動では大切なのだと強く感じます。
プロモーションとプロダクトの役割
最近は次のように整理して考えています。
「”なんか良い”をプロモーションで作り、”不満がない”をプロダクトで作る。」
つまり、広告やSNS、営業で伝えるべきなのは「なんか良さそう」という期待感。
その期待で手に取ってもらい、実際に使ったときに「特に不満がない」と思ってもらうのがプロダクトの仕事です。
ここで重要なのが顧客理解です。
顧客が求める安心感や利便性を理解せずにプロモーションを行っても、期待と体験にギャップが生まれます。
特に操作性に問題がなくても、「必要なあの機能がない」「データの更新をしにくい」なども「不満」です。
ひとつひとつ潰しに行かなくてはいけません。
逆に、顧客の欲求を捉えていれば「なんか良さそう」と「不満がない」を両立でき、長期的に選ばれるブランドになります。
4Pと「顧客理解」
マーケティングの4P(Product, Price, Place, Promotion)も、この考え方に重ね合わせて見直せます。
- Product(プロダクト):不満がない設計、安心して使える体験をどう提供するか
- Price(価格):高い安いではなく、「納得感のある価格」かどうか
- Place(流通):顧客が違和感なくアクセスできる導線かどうか
- Promotion(プロモーション):なんか良さそう、試してみたいと思わせられるか
すべての中心にあるのは、やはり顧客理解です。
顧客がどんな価値を求めているかを把握できなければ、4Pの設計もブレてしまいます。
経営における示唆
「不満がない」プロダクトを作ることは、派手さよりも難しいものです。
細かなUIの違和感、サポート対応の遅れ、価格設定の不透明さ…。
小さな不満が積み重なると、離脱の理由になります。
一方で「なんか良い」を伝えるプロモーションは、SNSの世界で特に重要です。
写真の雰囲気、文章のトーン、ブランドの一貫性。
それらが積み重なることで「なんか良さそう」という第一印象を作ります。
まとめ
「なんか良い」をプロモーションで作り、「不満がない」をプロダクトで作る。
その過程で欠かせないのが顧客理解です。顧客が何を安心と感じ、どこで違和感を覚えるのか。
それを把握し、4Pに落とし込むことができれば、マーケティングはより実効的になります。
結局のところ、売れる理由は機能や価格だけではありません。
「不満がなく、なんか良い」。この感覚をどうデザインできるかが、経営者として向き合うべき課題だと考えています。