公開日:2025.08.08 更新日:2025.08.08
いつもご覧いただきありがとうございます。
ソラノデザインの角田です。
弊社はWEB制作事業と共に、Instagramフォロワー数6.5万人の通販事業を行っているのですが、
実はその通販事業の撤退をこの半年悩んでいました。
ようやく意思決定できたので、コラムに残していきたいと思います。
宜しくお願いいたします。
目次
撤退を考えた経緯
Instagramアルゴリズムの変化
弊社の通販事業はInstagramからの流入がメインのチャネルだったのですが、
マーケッターの皆様はご存知の通り、現在Instagramのアルゴリズムはガラッと変わり、
オーガニックでの流入獲得がだんだんと難しくなってきました。
これは昔Facebookで起こった現象と似ているなと思っており、
WEB業界ではよくある話です。
Googleのコアアルゴリズムアップデートで、
アフィリエイターさんが軒並み淘汰された数年前も、近しい出来事ですね。
基本WEB上のプラットフォームは、
①儲かりやすい、事業を伸ばしやすい時期 = バブルが来て利用者や利用する会社が増える。
②その後アルゴリズムが変わり、ペイドメディア(広告費を払わないと成り立たないメディア)になる
という道を辿ります。
かなり昔から、ほとんどのプラットフォームが通ってきた道です。
弊社はあまりYouTubeは専門的に取り組んではいないのですが、
あくまで一視聴者として各チャンネルを見ていると、
YouTubeのバブルも終わりに向かっていると感じています。
WEB業界あるある。
海外大手プラットフォームあるあるですね。
そこで、あくまで私見ですが、
今後Instagramが元のアルゴリズムに戻る = 広告費なしで拡大できてた時代は、
もう来ないという事は、
間違いないと思っています。
KPIをフォロワー数・CPFから流入数とCPAに振り切った理由の一つです。
撤退を考えた経緯
個人的な話ですが、去年の今の時期は体調を崩しており、
アルゴリズムが変わったことに目を向ける暇もなく、
去年7月〜年明けくらいまでは、
なんとか体調を戻しながら事業を生き残らせる事に必死でした。
反面、年明け以降冷静にアルゴリズムを分析・予想できるようになり、
「今後Instagramのアルゴリズムは以前の状態に戻らない」と判断してからというものの、
悩んだのは、「通販事業撤退」。
目先の売上がどうこうというよりは、
将来性のない事業になってしまうと、
続ける価値が無くなるのじゃないか。
そう考えたんですね。
このコラムの主題です。
出した結論は資金調達と実店舗出店
結論から話しますと、
「攻めの守り」として、
大型モールへの出店と、楽天さん出店というのが、
ソラノデザインとして出した結論です。
大型モールさんも楽天さんも出店にかなりの費用がかかるので、
特に実店舗のためですが、会社として初めての資金調達(デットファイナンス)に動きました。
意思決定の経緯を書いていきます。
意思決定の経緯
この意思決定をしたのは正直、自分でも意外でした。
体調不良から始まり、この1年の通販事業の継続にはかなり時間と労力を割きましたし、
最初は事業継続を選択したのはコンコルド効果(投資したものを失いたくないという心理)かなと思ったのですが、
シンプルに、意外とこのブランドを大切にしている自分に気がつき、
「後悔したくない」という感情が先に走りましたね。
感情抜きで、頭だけで考えると、撤退の一択だったと思います。
自分のリソースの投下先として、
もっと効率よく儲かる、新規事業の事業計画もありました。
20代の頃、「感情的にならない人間が大人」「賢い生き方が正義」と誤解してた当時の子供な自分でしたら、
間違いなく「撤退」の一択だったでしょう。
30代らしい、「人間らしい」意思決定ができたと思っています。
結局事業を伸ばすのは、事業に対する愛情と覚悟だなと思っており、
自分の中に事業に対する愛情と覚悟があるのを自覚した上で、
「事業の継続」をまず意思決定しました。
チャレンジせずに辞めたら、
「あの時チャレンジしてたらもしかすると成功してたかも」なんて思いながら、
残りの人生を生きていく事になります。
それは流石に辛いです。
ではどうチャレンジすれば、このブランドが伸びていく未来が描けるだろうか。
どうすれば、この事業は世の中に広まって、多くの人に愛されるだろうか。
色々考えた結果、
チャネルの分散だと考えました。
1チャネル拡大するだけでも、かなりの労力です。
しかし本当に覚悟を決めたなら、私には「チャレンジの数」が足りないと思いました。
まず手始めに、2つ、チャネルを選定しました。
借入して実店舗を作り、
自己資金ですが楽天さんにも出店する。
そう意思決定しました。
Instagramのアルゴリズムの変動に対する守りとしては、
かなり「攻めの守り」ですが、
自己資金でできる範囲の中途半端な「攻めの守り」では、
覚悟が足りないと思いましたし、
いずれにしても、その程度の覚悟や愛情なら、遅かれ早かれ事業を守りきれないと思いました。
怪我の巧妙で「チャレンジできる環境」が整っていた
プライベートもそうですし、社内もそうですし、
偶然チャレンジできる環境が整っていたのは、かなり大きかったです。
経営者の方は理解してくださると思いますが、
社内に甘えや怠惰、反骨心がある状況で、
経営者はなかなか個人保証をつけて、借り入れなどしづらいものです。
(今から書くことは経営者以外の方が読まれたら非難殺到だと思いますが…)
やはり人生をかけて作った借金を、
誰かの「今日は集中力がないから」「社長が好きじゃないから」など理由でできた、
赤字の補填に消えるのは避けたい。
黒字ならいいんですけどね。
特に稼働力や集中力が個人赤字個人黒字に直結する、WEB制作事業は。
どうしてもそういう思いがありました。
流石に家族でもない誰かの補填で自己破産は、30代になっても受け入れ難い。
これは私の経営者としての器の小ささや、課題なのかもしれません。
そのために昔から、社内のマインドセットを変えようと努力するのですが、
なかなか今の時代、再現性がありません。
日本人一人当たりの労働生産性は、先進国の中で下から数えた方が早い時代。
平成生まれの私が言うのはおかしいですが、昭和と今では時代が違います。
しかし、そういう人の価値観は、否定するものではなく。
採用とマネジメントの問題です。
話が外れてしまったので、「借入できる環境が整った」話に焦点を戻しますと、
今は偶然、本当に怪我の巧妙なのですが、
そういったリスクがない環境に、気がついたら立っていました。
また、プライベートもそうです。
借入して周りに迷惑をかける環境だと、私も流石に二の足を踏んでいたと思います。
しかしプライベートも、むしろ今なら最後のチャレンジできるといった環境でした。
リスクを取るなら今しかないと、むしろ周りも私を後押ししてくれたくらいです。
公私共に、チャレンジできる環境が整っていたのは、不思議な流れを感じました。
この事業の流れと言いますか。
ハック系のビジネスの価値について思うところがあった
また最後の理由として、
弊社は創業以来この5年間、ハック系のビジネスで成功してきました。
SEOをハックしたり、SNSをハックしたり。
しかしハック系のビジネスに本質的な価値はないと、この頃思うようになりました。
年商も数千万〜数億レベルでしょう。
ハックはあくまでツールであり、
やはり顧客の感動や満足度を追いかけるのであれば、
大切なのはそこじゃないと。
ブランド力を、ブランドの体験価値を高めるためにといった意味でも、
この意思決定は重要でした。
本当に事業を大切に思うなら
「事業作り」なんてしていると、
色々と嬉しいことも、大変なこともありましたが、
辛かったことと嬉しいことを、今では切り分けて考えられています。
この通販事業のコンセプトや、この通販事業が生まれた理由を、
ゼロイチを行った時の自分たちの努力を、
今はとても大切に感じています。
シンプルに、良いブランドだと思いますし、
世の中に広まって欲しいと感じます。
しかし、そう口に出すだけなら、誰にでもできる綺麗事。
私にとっての課題は「本気でやれるかどうか」でした。
Instaramのアルゴリズム変化はネガティヴ要因でしたが、
反面覚悟が決まりチャレンジできる環境も整いました。
しかし流石に、財務的には最後のチャレンジ。
この実店舗出店と楽天さん出店が失敗すれば、
流石にこの事業は撤退です。
しかしやりきってダメだったのなら、
「俺の実力不足だな」「限界までやったけど流石に負けたな」と、
潔く負けを認め、撤退できるでしょう。
基本リスクを取らない経営をしていた自分が、
この意思決定をしたのは自分でも意外でしたが、
ロジカルさだけ重んじて、
感情や愛情なしに生きていても、
SNS上で見栄えが良い人生になるだけで、
あまり幸せを感じない性分なんですよね。
「良い人生」と「他人に良いと思われる人生」は違いますし、
「成功したい」と「成功してると思われたい」は全く別の感情です。
「失敗したくない」と「失敗したと思われたくない」も別ですね。
ですので、成功のために、失敗しないために。
大切に思う事業を、世の中に広めるチャレンジに全力を出しながら、
2025年下半期という時期を過ごしたいと思います。
私にとっての通販事業の失敗は、撤退ではなく、
「やりきれなかった時」「覚悟が決まらなかった時」が失敗だと、
半年考えて言語化できました。
「失敗したと世の中に思われること」を気にして怯えてても意味ないなと。
「覚悟決めて余計なことは気にせず走るぞ」って気分です。
書いている最中に、GPT5がリリースされたというニュースが飛び込んできました。
PCの中で完結する系の仕事をしている人間にとって、本当に時代の過渡期。
これから先の1年の動き方で、人生が大きく変わると確信しています。
正確で、合理的で、悔いのない意思決定をすべき時期。
走ります。
皆様、ソラノデザイン合同会社のWEB制作事業と、弊社通販事業を、
引き続き何卒、宜しくお願い申し上げます。