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WEB制作会社から見た”SaaS is Dead(SaaSの死)”について

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公開日:2026.02.11    更新日:2026.02.11

 

WEB制作会社から見た”SaaS is Dead(SaaSの死)”について

いつもご覧いただきありがとうございます。

ソラノデザイン合同会社、代表の角田です。

 

突然ですが、最近投資家界隈で話題の「SaaS is Dead(SaaSの死)」という言葉をご存知でしょうか?

 

いよいよこの言葉が、妙に現実味を持って聞こえる瞬間が増えました。

 

もちろん、本当にSaaSが全部消えるかと言われると、私はそうは思いません。

 

 

ただ、「SaaSという儲け方が、昔ほど”簡単に強い”ものではなくなった」とは、強く感じています。

 

そしてこの変化は、プロダクト会社だけの話ではなく、WEB制作会社にも確実に波及します。

今日はその話を、投資家の視点ではなく、WEB制作会社代表として、どう捉え、どう動いたか。そこに絞って書いていきます。

 

「SaaS is Dead」は、何が”死んだ”のか。

この言葉を、私はこう定義しています。

「機能を作って月額課金で積むだけで勝てる時代が終わりつつある」

 

もう少し噛み砕くと、今までのSaaSは、

  • 便利な機能を提供する
  • 導入社数が増える
  • 席(ユーザー数)が増える
  • 月額課金が積み上がる

という、かなり美しいストーリーが成立しやすかった。

 

しかし、AI(特にエージェント)が浸透すると、「席が増えなくても成果が出る」という、SaaSにとって嫌な現実が起きます。

席が増えないと何が起きるか。

 

ARPA(顧客単価)が伸びない。値上げがしづらい。「使ってないツール」を切る理由が増える。

つまり、積み上がるはずの未来が、積みにくくなるわけです。

 

アンソロピックの動きと、株価の動きが示した”空気の変化”

直近で一番衝撃的だったのは、このニュースです。

 

2026年2月3日、アンソロピックが「契約書精査や法務資料などの業務を自動化する」方向の新ツールを発表し、ソフトウエア銘柄に売りが広がった、という報道が出ました。

 

ゴールドマン・サックスが算出する米国のソフトウエア株式バスケットが6%下落した、という記述もあります。

Adobeやセールスフォースの株価を見ると、皆さんびっくりすると思います。

 

ここで重要なのは、株価が下がったこと自体ではありません。

 

投資家の関心が「AIで儲かる」から「AIで壊れる」に寄ったという空気の変化です。

 

「法務」という、企業の中でも”最後まで人間がやるだろう”と思われていた領域に、AIが入ってきた。

その瞬間に、市場が「事業モデルが侵食される側」を一斉に連想した。私はこう読みました。

 

そして、この「侵食」の概念は、WEB制作にも同じように当てはまります。

 

WEB制作会社にとっての「SaaSの死」は、つまり何か。

私は、WEB制作会社にとっての「SaaSの死」を、こう言い換えます。

 

「作ることの価値が下がり、運用と成果の価値が上がる」

これは、実はSaaS以前に、WEB制作業界で先に起きています。

 

昔は、良いサイトを作れれば、それだけで勝てた。でも今は、良いサイトを作るのは”前提”で、その先の「集客」「改善」「運用」「売上」に繋がらないと、価値として成立しづらい。

 

さらにAIの普及で、「作る」の速度が上がり、「作る」の単価は下がりやすくなります。

 

となると、WEB制作会社の戦い方は、“納品”を中心に置くほど苦しくなる。これが、私の現実的な見立てです。

じゃあ、WEB制作会社は「上流」だけやれば生き残れるのか。

ここまで読むと、「戦略」「運用」「マーケティングの上流」そういった仕事にシフトすれば、WEB制作会社は生き残れる。そう聞こえたかもしれません。

 

ですが、私はこの点について、かなり冷静に見ています。

 

理屈としては正しい。

ただし、現実は、そこまで都合よくない。

そしてもっと言えば、その「上流」という無形商材そのものが、AIに食われると私は考えています。

石川県で「上流」を本気で求めているクライアント企業は、どれくらいいるか。

戦略設計、運用改善、マーケティング全体の設計。

 

こういった仕事は、確かに今は価値があります。

 

ただ、ここで一度、足元を見たほうがいいと思っています。

 

 

石川県で、「WEBサイトを作りたい企業」は、一定数います。

 

しかし、「戦略や運用まで含めて、本気で頼みたい企業」が、どれだけいるか。

 

 

正直に言えば、その母数は、はるかに少ない。

 

 

 

これは感覚論ではなく、日々の相談内容、予算感、決裁スピードを見ていれば、まともな経営者なら、肌感として分かる話です。

 

起きるのは、「少ないパイ」を巡る争い。

つまり、地方において今後どうなるか。

戦略・運用・マーケティングの上流という、母数の小さい市場に、WEB制作会社が一斉に集まる。

 

すると何が起きるか。当然、価格競争が始まります。

「うちはここまでやります」「うちはもっと安くできます」「補助金も使えます」

当然、私も参入します。

 

 

そうやって、限られた案件を取り合う。

コストリーダーシップ戦略で、誰かが倒れるまで価格競争をする。

 

結果、勝った会社はどうなるか。安く取った分、負荷が重くなる。

 

負けた会社はどうなるか。仕事が取れず、ジリジリと消耗する。

 

そして、ここが一番しんどいところですが、価格競争で勝った側も、クライアントも、必ずしも幸せにならないと予想しています。

 

なぜ、価格競争で勝った側もクライアントも苦しくなるのか。

価格競争で取られた「上流案件」は、往々にして、こうなります。

  • 本当は必要な工数が割けない
  • 改善の深度が浅くなる
  • 担当者が疲弊する
  • 途中で熱量が落ちる

結果、「思ったほど成果が出ない」という結末になる。

 

これは、制作会社の努力不足というより、市場構造の問題です。少ないパイを、無理に奪い合えば、どこかに必ず歪みが出る。

 

つまり、これから起きるのは「ジリ貧の争い」。

戦略は残る。運用も残る。マーケティングの上流も、確かに残る。

 

しかし、それを本気で求め、適正な対価を払える企業の数は限られている。

結果として、WEB制作会社同士が、少ない市場で価格を削り合う。

勝った側も、負けた側も、経済的には、どこかで苦労を背負う。

私は、これが「SaaS is Dead」という現象の、地方における、最も現実的な帰結だと思っています。

 

そして、もっと言えば。

この「上流」という無形商材そのものが、数年以内にAIに置き換わると、私は確信しています。

 

無形商材は、もう、なくなる。

コンサル、戦略設計、運用代行、デザイン、コーディング。

これら全て、AIがやるようになる。

 

もっと先のことを言えば、AIによって人類の労働そのものがほぼ無くなると思っています。

だからこそ、私は3年前に決断しました。

 

「無形商材だけで戦うのは、もう限界がある」

 

私が3年前に始めたこと:雑貨ブランド事業

私は、3年前WEB制作の受託事業と並行して、有形商材であるブランドを立ち上げました。

 

まだWEBマーケティングが効力を発揮している”今”のうちに、SNSで認知を獲得し、ブランドを育てる。

 

その結果、現在:

  • SNSフォロワー数:数万人規模
  • 大型商業施設に実店舗出店

というところまで成長させることができました。

 

これが、私の答えです。

 

なぜ有形商材なのか。

理由は明確です。

AIがどれだけ進化しても、物理的なプロダクトと店舗体験は代替しにくい。

  • 実際に手に取れるモノ
  • 店舗での接客と体験
  • ブランドの世界観
  • 在庫という物理的な資産

これらは、情報やサービスとは違い、AIに一瞬で複製されない

 

そして、雑貨ブランドを短期間で成長させるために必要なスキル、

  • ブランディング
  • SNS設計
  • EC構築
  • 広告運用
  • データ分析

これら全て、WEB制作会社が持っているスキルセットです。

 

つまり、私がやったことは、「受託でやってきたことを、自社ブランドに転用した」だけです。

じゃあ、WEB制作会社はどうするのか。

私の答えは、こうです。

有形商材を持つべき。

もちろん、この答えは個人的なものです。

誰に共用するものでも、誰かの経営や、価値観を否定するものではありません。

 

しかし個人的に大切だとお者は、

食品でも、アパレルでも、家具でも、何でもいい。

大事なのは、「AIに一瞬で複製されないもの」を持つこと

 

そして、時代に合わせて、事業の軸足を移す準備をすること

 

私は今、WEB制作事業と有形商材ブランド事業を並行して回していますが、

今後の時代の変化に合わせて、軸足を柔軟にあちらこちらに移動しながら、

スタッフの雇用を守り、生き残るつもりです。

 

それでも、地味に続ける覚悟

正直に言えば、これは派手な一発逆転ではありません。

  • 上流だけを夢見ない
  • 下流を切り捨てすぎない
  • AIで原価を下げる
  • 指名される理由を積み上げる
  • そして、有形の資産を作る

あるのは、体力を落とさず、長く残るための設計だけです。

 

「SaaSの死」は、WEB制作会社にとって、チャンスでもあり、同時に、幻想が剥がれる合図でもあります。

 

色々と大変な時代に突入しそうですが、とにかく考え・動き・生き残る。

頑張っていかねばです。

 

以上、SaaS is deadのニュースがあまりにも話題だったので、久しぶりにコラムを書いてみました。

 

ご一読、誠にありがとうございました。

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